2018年10月7日(日)に行われた今年度第2回の英検2級・一次試験を振り返ります。語彙問題の難易度、読解問題・英作文の解答のこつを考えようと思います。試験問題は公式サイトで公開されています。
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短文の空欄補充(単語・熟語・文法)
語彙問題(単語)――基準は4000語
語彙問題(単語)は解答番号1~10までの10題です。
語彙問題の難易度を考えるために、アルクのSVLリストを参照して語彙のレベルを考察しました。SVLとは段階別学習語彙リストでSVLレベル1が基本の1000語、SVLレベル2がその次の1000語と、各レベル1000語ずつ合計12レベルで12000語の語彙をレベル別に分類したリストです。
2018年第2回英検2級、語彙問題10問の選択肢に出てくる計40単語について、SVLのレベルに分けると次のようになりました。
SVL1 | 1語 | excuse |
SVL2 | 6語 | directly, envelope, remove, handle, punish, compare |
SVL3 | 9語 | feature, remind, relative, cruel, foundation, celebration, establish, religion, quarrel, accompany |
SVL4 | 13語 | historical, barely, previously, monitor, generous, urgent, whisper, deposit, apology, endure, deceive, formation, restore |
SVL5 | 6語 | reflection, concept, dispose, compromise, currency, detect |
SVL6 | 3語 | prediction, statistics, terminal |
SVL7 | 0語 | なし |
SVL8 | 1語 | delete |
こうしてみると、今回の英検2級試験で、一番多いレベルはSVLレベル4の単語、つまり4000語レベルの単語で、その数は13語(40語中)でした。その次に多いのがレベル3の3000語レベルの単語で、9語です。レベル2以下で7単語なので、レベル4以下の単語だけで、合計29単語登場しています。全体の4分の3に当たります。
語彙問題は、4つの選択肢のうち、3つの単語が分かれば、正解を選ぶことができます。これは、選択肢それぞれの単語はまったく意味の異なる単語なので、4つ中3つ知っていれば、正解の選択肢が知ってる単語にあったらそれを選ぶことができますし、どれも正解ではない場合知らない1つが正解となるからです。
今回の試験では、SVLレベル4以下の単語で全体の4分の3を占めていることを考えると、4000語レベルの語彙があれば、十分合格できるぐらいの問題であるといえるでしょう。
ちなみに一番難しいレベルの単語は、SVLレベル8のdeleteでした。SVLとしては8000語レベルに位置しますが、日本語でもカタカナで使われるので、意味は知ってる人が多いのではないでしょうか。ちなみにこの単語は正答にはなっていません。
4000語レベルの語彙というのは、大学入試においても基礎から標準レベルで、今後英語上級者を目指すなら必ず使いこなせるようになっていかないといけない単語ばかりです。そういったことを見据えて、2級の語彙を学んでいくことは、英語をより自由に使えるようになるために必須になってきます。
語彙問題(熟語)――英検ならではの形式に慣れよう
続いては、語彙問題(熟語)です。
語彙問題(熟語)は解答番号11~17の7題です。2級の場合は形式が2つあり、1つは熟語の一部が空欄になっていて、選択肢の単語を補って熟語を完成させるもの(こちらが多い)。今回の英検2級試験でも5題はその形式でした。
熟語の一部が空欄になっているということは、たとえば、come up with (~を思いつく)という熟語なら、withの部分が空欄になっていて、それを選ぶという形式です。
今回この形式で問われた熟語は次の通りでした。
from time to time(時折)
in demand(需要がある)
stand out(際立つ)
come to do(~するようになる)
lose face(面目を失う)
熟語問題のもう1つの形式は、文脈に応じた副詞句・動詞句を選ぶ問題です。ちなみに準1級以上では、すべてこの形式になります。どちらかというとこちらの方が難しいです。
今回選択肢になっていた熟語は次の通りでした。
解答番号(17)
rely on(~に頼る)
vote for(~に投票する)
answer for (~の責任があるとする)※正答
insist on(言い張る)
解答番号(14)
in the meantime(一方で)※正答
to some extent(ある程度は)
at any cost(何が何でも)
on the contrary(それどころか)
どれも読解において重要な語彙ばかりです。準1級以上の英作文では、こういった語句が自由に使えることが得点を大きくアップさせてくれます。
文法問題――入試頻出系との違いに注目
続いては、文法問題です。
文法問題は解答番号18から20の3題で、英語の基本的な文法事項が問われます。文法を直接的に尋ねる問題は3題だけしかありません。文法問題があるのは2級までで、準1級以上からはすべて語彙問題です。形式はオーソドックスな文法4択問題といった感じです。
今回は、次のような問題でした。
解答番号(18)適切な前置詞を選ぶ問題
along
despite ※正答
about
worth
解答番号(19)分詞構文
Feeling ※正答
Felt
To have felt
To feel
解答番号(20)regretに続く動詞の形
to inform ○
informed
have informed
inform
最後の問題に出てくる正答を補った文(We regret to inform you that ~)なんていい方は、例えばやんわりとお断りの意を表すときにメールだろうと会話だろうと知っておいたら便利な表現です。
こういった表現を選んでくるところあたりが、英検の素晴らしい点だと思います。ちなみに大学入試用の問題集では、同じような問題なら必ずと言っていいほどinformingという形が選択肢に入っていると思います。regret to doかregret doingかの違いは入試ではよく問われるところだと思いますが、英検では選択肢に入っていないあたりがとても興味深いところです。
読解問題(空欄補充・内容一致)
読解問題は全部で5題あります。大問2(最初の2つ)が長文の空欄に入る単語・フレーズ・文を補う問題で、大問3(後半の3つ)が、長文の内容一致問題です。読解問題は2級も準1級以上と同じような構成と言えます。ただし、2級では内容一致問題の1つはメールの文章であることが多いです。
大問2―A New Bananas(新しいバナナ)
病気に強いバナナの品種改良の話。難易度は普通。
大問2-B The Benefits of Touch (触れることの効用)
人間の五感のうち、触覚が果たす役割についての文章。とても英検らしい問題。難易度は普通。2問目(解答番号25)少し迷う人がいるかも。
大問3-A Parent Volunteers (メール文:保護者のボランティア募集)
少年ホッケーチームのコーチが、保護者に活動費確保のためフリーマーケットへの協力を呼びかけるメール。難易度は低め。メールができるのなら、子どもにプリントを預けなくてもいい気がするのは私だけでしょうか…。
大問3-B A New Way to Use a Computer(コンピュータの新たな活用法)
従来のマウスに変わる技術について。難易度は普通。最後の問題(解答番号33)は少し迷った人もいるかも。本文のNot only dose it allow them to access the Internet or contact their friends and relatives, but it also improves their employment opportunities. という文が選択肢では、うまくパラフレーズ(言い換え)されている。Not only does it ~ といった倒置構文は2級レベルではあまり親しくない人が多いかもしれませんが、上級英作文にはとても有効な表現です。是非マスターしましょう。
大問3―C The Mysterious Mummies (ミイラの神秘)
中国で発見されたミイラが西洋人の特徴を持っていた理由について。アカデミックかつ雑学的内容は、まさに英検の長文問題と言った感じ。難易度は普通。問題はパラグラフ1つにつき1題というのが基本ですが、最後の問題(解答番号38)だけは、文章全体に関する問題です。
ライティング(定番系)
2級の英作文テーマは社会性のある話題について、80~100語程度で自分の意見を述べる問題です。語数が100語もないので、文章を複数の段落に分けて書く必要は特にありません。この語数で段落を分けたら、一文で1段落なんてことになりかねません。ちなみに英検側が出している解答例も段落分けはされていません。
今回のテーマは「環境に優しい商品を購入することの普及」についてでした。前回に続いて、環境に関するテーマが採用されています。環境にいい商品を買う是非ではなく、環境にいい商品を買うということが今後どのように続いていくかについて書かないといけませんでした。
理由を書く際に助けとなる観点がPOINTSとして最初から与えられています。この観点か理由を書くことは必須ではありませんが、参考にして書くといいでしょう。ちなみに、観点としては、Changing lifstyles, Cost, Technolgyの3つが与えられていました。
100語以内でまとめるには、理由を2つ、一つあたり30語程度を使って書く必要があります。2文を一つの理由をまとめることができたら、それほど難しくないでしょう。
Costという観点で肯定の理由を書くなら、次のように話を組み立てるといいでしょう。
「環境へ配慮した商品が一般的になりつつある」→「費用は低くなっている」
字数に余裕があるようなら、太陽光発電が現在では価格も下がり、多くの家庭に普及しつつあるということなどの例を挙げてもいいでしょう。
全体的に、英検だろうと大学入試だろうと定番系の話題であるので、書きやすいテーマだと思います。
まとめ――その目の先に準1級を見据えて
英検2級は、大学入試を目指す高校生、英語をやり直したいという社会人が受ける試験として最適の試験です。
語彙問題や読解問題に出てくる表現は、英語上級者なら誰もが使いこなせるような表現が盛りだくさんです。
ライティングでは基本的表現をある程度使える必要があります。まずは、このレベルをしっかり制覇して、次の上級レベルへと進んでいけたら、英語の学習は有意義になっていくでしょう。
2級から準1級までの差はかなり大きく感じる人が多いと思いますが、地道に学習を続けていくと、誰もが到達できるレベルですし、到達を目指すべきレベルです。
2級を受けたら、視線の先には、準1級、そうやって英語の高みへと近づいていけたらいいと思います。