英語学習

【本の紹介】『語源で覚える 最頻出イディオム』

イディオムというと、なかなか学校でちゃんと習うことはありません。そんなイディオムを扱った本の紹介です。

イディオムというのはあまり学校英語で習うものではありません。多くの日本人はほとんど英語のイディオムというものになじみがないまま英語学習を終えてしまうのが現状だと思います。そこで、今回はおすすめの「イディオム本」の紹介です。

本書で扱う「イディオム」は、「動詞+前置詞/副詞」で構成されるような熟語(call on, look to, drop in onなど)とは違って、日本語で言うと、「ことわざ」といったようなものです。

たとえば、次のような表現です。

salt of the earth =お手本となるような人

cast the first stone =真っ先に非難する

一語一語は意味を知っているし、中学校でも習うような単語だけど、組み合わさって特別な意味を作るような言葉です。

こういった表現は入試のために勉強することもあまりないでしょうし、TOEICなどの英語試験のために学習するということもあまりないのではないでしょうか。その点で、この本で扱われている内容は、英語のイディオムに興味がある、そういった表現を探すのが趣味であるという人向けだと思います。

試験での点数アップに直結するタイプの本ではないと書きましたが、それでも、英語を楽しみたいならこの本に出てくるイディオムを身につけておくことは非常に有効だと思います

先日、イギリスの政治経済紙として名高い「The Economist」を読んでいると、19世紀の思想家John Stuart Millについて書かれた記事で、次のような表現が出てきました。

 He wasn’t. True, in his early years Mill was a dyed-in-the-wool utilitarian. (…)

 (出典: “Against the tyranny of the majority” , The Economist: August 4th-10th 2018)

 

dyed-in-the-woolという表現がわからなかったので(直訳だと、毛の中で染められた?)、この本で調べてみると、次のように解説されていました。

Dyed-in-the-Wool 根っからの

由来:未加工の状態で染めた羊毛は、紡いだり、折ったりした後で染められたものよりも色が落ちにくい。1579年以降、染色があせないという発想は、考えをたやすく変えなかったり、強い信条を持った人々に転用されるようになった。その後、米国第7代大統領アンドリュー・ジャクソン政権下の1830年、この形容詞は初めて政治的な意味「生え抜きの党員の」と用いられるようになった。

出典:『語源で覚える 最頻出イディオム』

こういった語源の説明が秀逸で、歴史的背景から、意味の変化、現在使われている用法を「例文・直訳・詳しい意味」とともに全イディオムについて解説しています。先に挙げた「The Economist」の文の意味は、「実際、若い頃、ミルは根っからの功利主義者だった。」ということがわかりました。

こういったイディオムは、小説や雑誌を読んだり、見たりしていると頻繁に目にするものなので、本当の意味で英語を楽しむには学ぶ価値は大いにあると思います。そういったイディオム学習を助けてくれるという意味で、本書は読み物としても、覚えるための学習書としても、適宜参照する辞書としてもおすすめです。

外部試験でこのレベルのイディオムを知っている必要があるような試験はほとんどありません。イディオムや熟語を知り尽くしている必要がある試験なんて、ケンブリッジ英検のCPEぐらいしかないのでしょうか。

それでも、英語を楽しむには必要ですし、なにより、ことばの成り立ちや由来について考えるいい機会になると思います。

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