大学入試

【英単語Stock(関正生)】徹底レビュー 長所・短所・おすすめの使い方など

このサイトでは、いくつか英単語集のレビューをしてきましたが、今回は、最新英単語帳について書きたいと思います。その名も、『英単語Stock』(関正生)です。発売は2018年12月です。

個性的な単語帳ですが、使ってみての感想と、メリット・デメリット、おすすめの使い方などを考えてみました。

画期的で斬新な内容

センターレベルとされる『Stock 3000』と国公立2次レベルとされる『Stock 4500』の2つのラインナップです。

著者の関正生先生はスタディサプリなどで大人気の講師なので、業界では知らない人はいないという人です。『世界一わかりやすい』シリーズなどで受験生からの支持は絶大ですね。

そんな関先生が満を持して出版された単語集が『英単語Stock』です。

大学入試改革の流れもあり、現在、様々な出版社からいろんな単語集がどんどん出ています。こちらも受験会のカリスマ、駿台の竹岡弘信先生も2018年11月に『必携英単語LEAP』という単語集を発売されたばかりです。

この流れはしばらく続いていくと思われます。

今回発売された『Stock』は、結論から言うと、2018年見た単語集で、一番おもしろいと私は思いました。長所や短所はあるのですが、それを含めて、読んでかなりおもしろい単語集であるのは間違いありません。

以下では、『Stock』の主な特徴を見ていきましょう。

 

最大の特徴は語の選定

『英単語Stock』の最大の特徴はなんと言っても、収録語の選定です。

入試向けの単語集と謳っているので、「最新の入試」に出た単語を分析して掲載しています。こうして選定された単語たちが、なかなか従来の単語集とは異なります。

簡単に言うと、入試に出るような語なら、普通は単語集に載っていないような単語もためらいなしに見出し語にされています。特に、上級レベルの『Stock 4500』はその傾向が強いです。『4500』の方は、一般的な単語集との差が『3000』よりも多いので、どちらかというと『4500』の方が手に取ってみる価値があると私は思います。

収録されている「最新」単語はこんな感じです。( )は『英単語Stock4500』の見出し語番号(以下同じ)。

multitask (435)
personal information (438)
upload (445)
Starbucks (678)
aging society (679)
nanobot (701)
TED talks (1058)

こういった単語は、確かに現代社会を扱った文章では出てきてもおかしくない単語ですが、一般的な単語集には載っていないような単語ばかりです

必要ないという意見もあるでしょうが、少なくとも、知っておいて損することはない単語たちです。その点で、この単語集は画期的であるといえるのではないでしょうか。

『4500』の方には、受験レベルとしても最難関といえる難単語でも収録されています。英検1級レベルとされるような単語でも入試に出てきそうな単語は当然収録されています。

たとえば、『Stock 4500』の見出し語で、『パス単英検1級』に収録されているような単語は次のようなものがありました。

tribute (363)
zeal (364)
induce (412)
disparity (568)
asylum(581) etc…

どれも難しい単語ですが、難関レベルでは、確かに入試の長文に出てきてもおかしくないような単語ではあります。その他病名や専門用語など、時にはかなりマニアックな単語まで『4500』には収録されています。

 

シンプルなレイアウト

レイアウトはシンプルで、単語の定義は基本的に日本語1つのみです。ごちゃごちゃした定義や類義語などの情報は無視してよしと、関先生は著書でも記されていますので、そのとおりのシンプルな配置です。

基本的に英単語1つに日本語の訳語が1つ当てられています。派生語はそれなりに(小さな字で)記述されていますが、類義語や対義語の表示はありません。発音記号はカタカナと共に全見出し語についています。

各単語には、短いフレーズがついていて、下に訳が書いてあります。よく出てくるコロケーションは、太字になっていて強調されています。曰く、「どう出るか?」を徹底的に意識した例文だそうです。

関連語などの情報量が多い方が良いという人には向かないかもしれませんが、とりあえず、見出し語の訳語を1つだけ覚えれば十分というスタンスの人にはもってこいの配置です。

 

記憶ブースター

私にとっては、これが一番おもしろかったです。

すべての見出し語に「記憶ブースター」と呼ばれる著者コメントがついています。コメントの内容は詳しい意味・語源・用法・関連語・語呂合わせなど、その単語によって様々です。

すべての単語にこのコメントがついていて、まさに著者の意気込みが感じられるところです。この「記憶ブースター」にはためになる情報があったり、わりとしょうもない語呂合わせが載っていたりと、いずれにせよ、「覚える」という単調な作業を楽にしてくれる工夫がなされています。

たまにつっこみどころのあるコメントもあるのですが、それを含めて、記憶に残りやすいという点は確かだと思います。

あえてレイアウトはシンプルにしているので、より詳しく情報に当たりたいときだけ「記憶ブースター」のコメントを参照してみるなんてこともできます。

全体として、「覚えられる」「得点につながる」ということを徹底的に意識されているので、受験生が使ってライバルと差をつけることができる単語集になっているのは確かでしょう。

以上がこの単語集の特徴とメリットとして私が感じたことでした。章立てや、四技能対応のアイコンなど他にも特徴はあるのですが、多の単語集と差をつけているほどの特徴ではありません。



 

デメリットもある

個性的な単語集なので、デメリットはもちろんあります。合わないという人も一定数いるはずです。

類義語などの関連語の少なさや訳語の少なさは、メリットであると同時に、デメリットでもあります。

しかし、最大のデメリットは「記憶ブースター」の説明が時に誤解を生むような内容であるということだと思います。

paleontologist(800)

たとえば、見出し語にpaleontologist(800)という単語がありました。意味は「古生物学者」という意味で、この本の中でも最も難しい単語の1つだと思われます。(正直、私も知りませんでした…。)

この単語のコメントは、次の通りです。(太字も原文通り)

過去の生物を研究する学者のことです。入試の長文では「恐竜」の話が頻出なので、この単語は必ず出てきます(なのに受験生は絶対に知りません)。

『英単語Stock4500』関正生著(文英堂)

この単語は、必ず出てきますとのことですが、いくら何でもこんな単語が必ず出るわけはありません。

こういったテーマの長文で何かなかったかな~と私の記憶にとまった長文が1つありました。

(そういえば、今年の東北大の長文に生物の起源に関する長文があったはず。)

早速確認しました。

2018年東北大学入試、大問Ⅱの長文は、“How did life begin?” という文から始まる文章で、生物の起源に関するものでした。まさに、「古生物学者」なんて出てきそう!な感じの文だと思ったわけです。

結論から言うと、paleontologistなる単語は出てきませんでした。この長文で出てこないなら、まあなかなか出会えないでしょうね。まあ、この東北大の長文は、確かに恐竜の話ではなかったのですが、生物学と天文学、化学の観点から生物の誕生について考察する文章でしたので、「必ず出る」なら、出てきてほしいところでした。

まあ1つの長文問題に出てこないからと言って、その単語集を否定するのはあまりに乱暴ですが、少なくともpaleontologistなる単語が必ず出てくることなんてありません。まして、その単語を知らないからと言って解答できない(or 減点につながる)ような問題を出題する大学があると思えません。

こういった謎の「決めつけ」コメントはこの単語だけでなく、結構多く見られます。関先生の本の特徴といっても良いかもしれません。

 

criteria(574)

揚げ足を取るわけではないのですが、criteria(574)のコメントも、大いに疑問でした。

criteriaは、辞書にはcriterion「基準」の複数形と書かれていますが、criterionを見かけることは多分一生ないので、criteriaだけを覚えてください。

『英単語Stock4500』関正生著(文英堂)

このように書かれていますが、私はこのコメントを読んで1週間も経たないうちに、TOEFLの公式問題集を解いていたら、criterionという単語に出会っちゃいました。

多分一生ないと説明されていた単語と、ものの1週間もしないうちに出会ってしまったわけです。( “The Official Guide to the TOEFL Test Fifth Edition” ETS p.209)

また、2019年の東北大学入試にも “criterion” はばっちり出てきています。この単語集のコメントを覚えていた人はちょとと気が散ったかもしれません…。(出てるやん。みたいに。)

こういった、従来の辞書や単語集を否定する感じのことを書くと、英語のことをあまり知らない人は、この人すごいと思ってしまうかもしれませんが、決めつけは何にしてもよくないです。

 

arise(1)

関先生の本は「世界一わかりやすい」という名を冠したものも多いです。そういった本は、確かにわかりやすい説明がなされている一方で、「わかりやすい」という名のもと、言語の大切な側面を犠牲にしている記述も多いと私は思っています。

例えば、この単語集でも、arise(1)のところで、「ariseのaは強調に過ぎないので、arise=riseと考えてOKです。」とあります。

もちろん、ariseやriseは自動詞でraiseは他動詞で、という考え方を身につけるにはarise=riseとイコールにしてしまってもいいのでしょう。しかし、実際には違う単語として存在しているということは、単純なイコールで片付けられない言語の世界があるわけです。

実際、ほとんどの場合、英文中のriseをariseで置き換えができるわけではありません。

確かに等式でこう考えたらわかりやすくはなるのでしょうが、それでは言語の大切な世界を犠牲にしてしまっている気がします。

ariseがriseでなく存在する理由だってありますし、criterionという単語が使われる世界だって「必ず」あるのです。

言語とは、どうしても、「わかりやすい」だけではいかない世界があるものです。そういった世界を切り捨てるようなコメントはこの単語集の最大の弱点だと私は思っています。

 

おもしろ「記憶ブースター」3選

ちょっと、一部の説明の揚げ足をとるような形でデメリットを挙げてしまいましたが、実際には、この単語集はとてもおもしろく、役に立つ情報もいっぱいだと思っています。印象に残った「記憶ブースター」を3つ紹介しましょう。

span(1710)

「長期のスパンで考える」とは「長い期間・範囲で」ということですね。本来は「親指と小指の間の長さ」で、昔はこれを基準にものを測ったわけです。

『英単語Stock4500』関正生著(文英堂)

span(1710)という単語の語源が印象的でした。なるほど手を広げて親指から小指の間をspanと言っていたのですね。

こういった語源に関する情報は、ときどきはっとさせられるようなものも多いです。mourn(132)の語源解説もなるほどと思いました。

 

fabulous(1337)

fable「伝説、寓話」という単語から、fabulous「伝説みたいな」→「(伝説のように)素晴らしい」となりました。ちなみにオネエキャラの人がよく使います。

『英単語Stock4500』関正生著(文英堂)

最後のⅠ文で「!」となります。辞書にも載ってないし、オネエキャラの人と英語で話したこともないし、確認しようがありません。

「どんだけ~」のノリで、”How FAAAAABULOUS!!!” なんて言う人とかいるのかなあ。オネエキャラを目指す人は新しい決め台詞として使ってみては。

実際にオネエキャラがよく使うかどうかは別にして、確実に私は英作文や会話で使うことにためらいは生まれました。

 

divine(948)

「ディヴァイン」という発音が、なんとなく神々しいというか。

『英単語Stock4500』関正生著(文英堂)

……。

なるほど、「ディヴァイン」、「ディヴァイン」、「ディヴァイン」……。

神々しいか?

いや、確かに神々しいような気も……

divinedivinedivinedivine…

う、うん、確かに神々しい。うん。きっとそうだ。

こんな感じで、明らかに苦しい感じのコメントもあります(笑)が、このおかげで記憶には確かに残りやすいです。

こういうコメントは、私は結構好きです。「ん?」となるようなコメントがある方が真面目に情報だけを羅列した語彙集よりも単純におもしろいからです。

 

まとめ どう使おう

以前『必携英単語LEAP』『学研 英単語2300』『ユメタン』について、「書き手の顔が見える単語集」という話を書きましたが、今回の『英単語Stock』もまさにそんな単語集になっています。

受験指導の達人から、単語はこの単語をこう覚えなさいと語りかけられているような単語集です。

今回指摘したように、個性的であるが故のデメリットももちろんあります。高校生は気づかないようなミスリーディングな解説もあるので、合わない人には徹底的に合わないかもしれません。

ただ、入試向けの単語集としては、間違いなく現在出版されているものの中でもトップクラスの内容と覚えやすさだと思います。

「記憶ブースター」のコメントは、ためになるものや突っ込みどころのあるのものも含めて、他の単語集にないおもしろい内容です。1000円と決して高い本ではないので、手にって見る価値はあるはずです。

この1冊をメインの単語集にしても十分入試には対応できる力がつくでしょう。『4500』には難関大学にも十分耐えられる量の単語が掲載されています。

メインにするには抵抗がある人は、他の単語集をメインに使いつつ、この単語集ならではの「最新語彙」を補うのに使ってもいいかもしれません。「記憶ブースター」と例文を読むだけの本としても効果的だと思います。それだけでも覚えた単語の定着率はあがるはずです。

いずれにせよ、見た目は割とシンプルなので、活用の仕方は工夫次第でいくらでもあります。ここがありがたいところです。

私は最初に読んだときは、付箋をつけまくりながら読んで、2週目3週目で付箋を厳選したり追加したりしながら楽しく理解を深めるみたいな使い方をしました。

他の単語集と比べてみたい時は、単語集の場合は簡単です。同じ単語を引いてみましょう。それで気に入った方を使えばいいです。その際、多義語(chargeやfigure)などを引いてみると結構単語集による違いが現れて、参考になりますよ。

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