英検

2018年第3回英検1級(筆記)レビュー 難易度と解答のポイント

1月27日に行われた、2018年第3回英検1級のレビューをしたいと思います。語彙問題のレベル、読解・英作文のポイントなどを振り返りましょう。

Contents

語彙問題

英検1級の語彙問題は全部で25題です。単語が21題、熟語が4題となっています。

単語

今回の試験に出てきた単語の難易度を考えるため、21題の単語問題の全選択肢をSVLで参照しました。SVLとはアルクが出している語彙レベルの基準です。

全84単語をSVL参照した結果が以下の表です。SVL1=1000語レベル、SVL2=2000語レベル、・・・SVL12=12000語レベルと考えてください。

形容詞に-lyをつけただけの副詞は、形容詞形のレベルに入れています。

SVL 単語数 単語
SVL2 1 fare
SVL5 1 awe
SVL6 1 torment
SVL7 2 delegation, tumble
SVL8 5 aspiration, aviation, smuggle, treacherous, sensuous
SVL9 4 feat, inflammation, boon, tangible, retention
SVL10 15 embargo, spurt, wrench, muster, gravitation, ratify, amass, etc…
SVL11 24 counterfeit, imposition, crumple. brawl, blight, ailing, prodigious, etc…
SVL12 12 embellish, dissident, assail, stupor, detriment, jostle, squeamish, menial, etc…
SVL外 16 saunter, elucidation, obdurate, preeminent, bewitch, binge, ensconce, etc…

ここから分かることを簡単に。

・SVL1~12の12000語から68語

・SVL外の単語は16語

今回の検定では、SVL12以下の単語(12000語レベル以下)の単語で68語を占めていました。これは全体のおよそ80%です。

つまり、SVLの12000語を覚えていたら全体の8割の単語は意味が分かるわけです。これだけ分かれば、ほとんどの問題で正答が選べます。

前回の検定(2018年第2回)ではSVL外の単語が25語と多かったですが、今回は16語と大幅に減少しています。

そのため、12000語ぐらいの語彙力があれば、ほとんどの問題で正答を選べたのではないでしょうか。

ちなみにSVL外の単語16語は『パス単英検1級』に収録されているものも多いです。SVLの12000語と『パス単』を覚えていた人は、割と楽に乗り越えることが出来たはずです。

以下の単語はSVL外で『パス単英検1級』に未収録の語であり、かつ派生語などから意味が推測しにくい語です。多くの受験者が知らなかったと思われる単語になります。

saunter, obdurate, binge, roguish, ensconce, grovel, venerate

 

熟語

熟語問題は4題で、文中の空欄に当てはまるものを選ぶ形式です。

今回登場した熟語は以下の通りです。(下線は正答)

(22)
boil down to
sit in for
get back at
shy away from

(23)
chime in
spruce up
drag on
scoot over

(24)
blurt out
live down
rope in
leaf through

(25)
swear by
eke out
hem in
iron out

(22)の正答get back atは『パス単1級』には掲載されていません。ただ、文脈から、revengeのような意味になることが推測でき、それっぽい意味になりそうなのはget back atしかありません。

(23)が一番間違えた人は多かったのではないかと思われます。核となる動詞chime, spruce, scootがそもそも分からないという人も多かったはずです。drag on以外は『パス単』にものっていません。

(24)は全選択肢『パス単』に掲載されています。これは正答したい。

(25)正答のswear by以外は『パス単』に収録されています。swear byという熟語を熟語として知らなくても、なんとなくこれも文脈から正答を選べそう。

 

読解問題

読解問題は2パターンです。大問2が長文の空欄補充で、大問3が長文の内容一致問題です。

2-1 Stockholm Syndromeストックホルムシンドローム
タイトルの通りの症状に関する話。人質が犯人に親近感を抱くというあれです。全体としては心理学の話です。それほど難しくはありません。

2-2 Hollywood and China ハリウッドと中国
ハリウッドの映画興行を中国に外注している現状について。ジャンルとしては経済・文化について。最後の問題は、後ろを読んで前のことと逆のことを言っていると判断できるかがカギ。

3-1 Enoch Powell and Immigration エノック・ポウウェルと移民問題
20世紀のイギリスの政治家についての話。ジャンルはイギリス史と政治、移民問題といったところ。20世紀の話だが、移民問題という現代にもホットな話であるところが英検らしい。この問題が私は一番読みにくく感じました。どうでしょう。特に、2問目の、「どのような結論が推察されるでしょう」という問題は正答できず・・・。難しい。TOEFLもそうですが、inference question(文章に直接述べられれていることではなく、そこからすいさつされることを尋ねる問題)は難しいことが多いです。ちなみに前回も大問3-1はイギリス史でした。

3-2 Language and Emotions 言語と感情
ダーウィンの進化論を皮切りに、言語と人間のもつ感情の相関について述べた文章。心理学や社会・言語学の分野になります。大きな流れをとらえることが大事。第一段落の考えを後半は否定していくわけです。アカデミック英語の読解問題としてはよくあるテーマなので、間違えたところは復習しておくと今後役に立つかも。

3-3 Operation Gladio イタリアの秘密結社
最後の問題は、前回に引き続いてがっつりとした歴史物でした。前回はアメリカ史でしたが、今回は広く西洋の歴史が話題になっている感じです。中心はイタリアの秘密結社Gladioについてで、それを取り巻くイタリア国内外の動きについてです。難易度としては前回よりは読みやすいものと感じました。(39)と(41)なんかは本文を素直にパラフレーズしてくれているので迷わず選べたのではないでしょうか。

 

英作文

最後に英作文についてです。

英検1級英作文は、広く社会性のあるテーマについて自分の意見を述べることが要求されます。

語数は200-240語で、解答時間は30分前後を見ておいたらいいと思います。エッセイを書く際には必ず3つの理由を挙げるということが指定されています。

指定の多い形式なので、その型に従って書いたら割と点数はでてきます。

今回のテーマは「大量破壊兵器を世界的に禁止することは達成可能か」というテーマでした。

英検英作文の練習をしてきた人にとってはそれほど戸惑うこともなかったテーマだと思われます。むしろ、「いかにも英検らしい」という部類のテーマだと思われます。

立場と理由としては、ざっと思いつくものは以下です。

達成可能
・ネット上の攻撃が主流になりつつある
・「核兵器禁止条約」などの進歩
・テロの取り締まりの高度化

達成不可能
・大国が武器を手放すことの非現実性
・紛争・対立の絶えない現状
・抑止力としての兵器所持
・技術の進歩により兵器が秘密裏に製造しやすくなった

どちらの立場でも、それなりのフォーマットに従って理由を書くことが出来たら、それなりの点数はでてきます。残念ながら、達成不可能の方が理由は思いつきやすいのではないでしょうか。

weapons of mass destruction, attainableといった単語がそもそも分からないと話にならないので、時事英語を理解できるぐらいの語彙力は必要です。

そして「大量破壊兵器」が、そもそもなにを指す用語なのかは知っておく必要があります。このへんも普段からそれなりにニュースや新聞を読んでおくことが大切になってきますね。英検英作文・面接とはそういう試験であることを忘れてはいけません。

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