英検1級の面接はやはり難しいです。TOEFLやIELTSなど、他の英語試験と比べても決して「やりやすい」試験とは言えません。今回は、そんな1級面接の話です。何が英検1級を難しくしているのか、どのように乗り越えれば良いのかを考えましょう。
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1級2次試験(面接)の内容
英検1級の2次試験は、だいたい10分程度をかけて行われます。試験官は2人で、日本人1人・ネイティブ1人です。
試験の大きな流れは次の通り。
- あいさつ・簡単な日常会話
- 2分間スピーチ
- 質疑応答
メインとなるのは、2分間のスピーチです。このスピーチでは、社会性のあるテーマについて提示される5つのトピックから1つを選んで答えます。
その後の質疑応答は、まずはスピーチで話した内容について様々な質問がされます。後半では、スピーチのトピックから派生した幅広い話題について聞かれます。
スピーチでは、解答の前に1分の準備時間があります。この時間でトピックを選び、話す内容を組み立てないといけません。
トピックは、広く社会性のある話題が選ばれます。政治・経済・文化・教育など、国内外の様々な時事問題が扱われます。
英検面接(と英作文)を難しくしている要素はこの時事性だと思います。たとえ英語ができても、トピックについて論を立てることが出来ないと話せません。英検スピーキングは、その意味で、他の試験と比べても最も背景知識が必要とされる試験です。
weapons of mass destruction (大量破壊兵器), lenient immigrant policy (寛容な移民政策)などの語が「何を意味し」「現代社会でどのような問題として扱われているか」を知らないとそもそも議論ができないわけです。(だから子どもで1級とかすごいな~。)
1分しかないので、トピックを選んだ後は、思いつく理由をざっと整理して、主張と結論を思い描くぐらいのことしかできません。
大まかな論理構成だけ描いておいて、後は基本的に即興で話すわけです。
このスピーチは、英検1級の最後の難関です。
英検1級を持っているということは、謂わば、形はどうであれ、2分間のモノローグをほとんど即興で組み立てられる人であると言えるわけです。
どれだけ話せればいいか
英検1級といえど、だいたいこれぐらい話せれば問題ないというラインはありそうです。
安心してください。1級面接だからといって、常によどみなく一切のミスもせずに話せるという人はほぼいないと思います。
次の2点が大切かなと思います。
- 出だしから結論までのしっかりした論理構成
- とにかく英語を話す
言い淀みや考える間があったり、ところどころ文法の細かいミスはあっても、大量にない限り大丈夫だと思われます。
英語で意見を述べる際に、一貫した議論をすることはとても大切です。理由も論を支える適切なものを選ばないといけません。
途中で言っていることが変わったり、理由になっていない理由を述べると、言葉を並べたところで「考えを伝える」ということに欠陥がうまれます。そのため、英作文でもあれだけ論理構成をしっかり意識するように指南されるわけです。
その点は、面接になろうと変わりません。
あとは、ひたすら英語を話すだけだと思います。正しくて難しい表現を吟味しながら話すより、筋道立てて、使える英語を自然に話し続ける方が話やすいはずです。それだけでも最後まで話せたらそれなりに点数は出てきます。別に対策本の解答例のように話せる必要はありません。
私自身、決して英語がぺらぺらだなんて全然言えませんが、何とか1級面接は初受験で突破しました。
面接の学習をしよう
面接試験の対策に私が使ったのは、次の3つです。
- 『14日でできる! 英検1級二次試験・面接 完全予想問題』(旺文社)
- 『英検1級英作文問題完全制覇』(ジャパンタイムズ&ロゴポート)
- YouTube動画
- (『知識と教養の英会話 第2版』(クリストファー・ベルトン / DHC))
『英検1級二次試験・面接 完全予想問題』
面接用の本は、旺文社のものか植田一三先生のものしか専用の対策本はありません。
私はなんとなく旺文社の方を買いましたが、ほとんど使いませんでした。
この本にはトピックとそれについての質問がついているので、それを見ながら自分で話す練習をしただけです。正直値段の価値があったかは微妙です・・・。
ちなみに、面接の本は合格発表直後はAmazonでも品薄になるのでご注意ください。
『英検1級英作文問題完全制覇』
1級面接の学習で私が一番使ったのは、実は英作文の本でした。
おなじみの『英検1級英作文問題完全制覇』を面接対策にも使いました。
使い方は、単純に英作文のトピックについて、話す練習をする、というものです。
シンプルですが、結局これが一番練習になったと思います。英作文の解答を丸暗記するのではなく、使える表現や論点をピックアップしながら、時間内に解答をつくり上げる練習をしました。
その点、英検の面接練習では、ストップウォッチは必須だと思います。
YouTube動画
次に活用したのは、YouTube動画でした。
特に、TED Edの動画は秀逸で、英検対策にぴったりな内容をコンパクトかつ興味深い形でまとめてくれています。
ネット上で無料公開されている教材としては、最高の素材だと思います。
また、TED Edの動画は、公式ページにいくとその動画に関する問いが立てられていて、各国の学習者がトピックに対する意見を寄せています。まさに英検向けの教材になっているわけです。
『知識と教養の英会話』
最後の『知識と教養の英会話』は、英検受験後に使い始めたので一応かっこにいれています。
この本は、現代社会や文化・歴史など、社会性のあるテーマについての会話集になっています。
内容はかなり高尚ですが、英検のテーマとも相性が抜群なので紹介しました。
私はこの本をシャドーイング教材として使ったり、背景知識の補充に使っています。
1つの会話を聞いて、それを口頭で要約するというのもスピーキング練習にかなりおすすめの使い方です。

まとめ 「伝える」ために
繰り返しになりますが、1級面接で大切なのは、「考えをしっかり伝える」ことだと思います。
そのためには、まず、伝えるに値する自分の考えを持っていないといけません。
そのためには新聞・ネット・書籍・テレビ・ラジオなどで常に情報に触れておくことも大切になってきます。
私は格好いい言い回しが使えるよりは、「私はこう思うんですけど、どうでしょう」ということがまがりなりにも言えることのほうが大切だと思います。そちらの方が語学の本来の目的だと思うからです。
いずれにせよ、英語をたくさん話して、伝えることができないと1級試験は突破できません。
一方で、レベルは高く、やるべきことは多い分、束縛されない自由な練習ができます。動画を使った学習などまさにそう。
英語をなんとか「使える」という証明に、何よりもその過程が力になるような学習をしたいものです。