大学入試

【2019年京大入試・英語】感想・難易度・解説 「京大らしさ」の先に

2019年京大入試・英語を振り返ります。受験生でも、そうでなくても、難関大の入試問題から学べることは多いです。今回は、最新2019年の京大入試をやってみた感想と、解答のポイント、難易度などをまとめていきます。

京大入試の特徴

京大の入試は、世に数ある英語試験の中でも、極端なまでに「精読」に偏った試験です。

読むべき英文量は4ページに満たないほどで、120分の英語試験としてはかなり少ないといえます。その文、比較的短いパッセージの中で、1つ1つのことばに深く寄り添った英文理解が要求されます。

そのため、京大英語には割と京大英語専用の対策というか、練習が必要であったりします。センター満点、TOEFLのリーディングも高得点がとれるという英語力の高い人でも、いきなり京大入試をやってみたら戸惑うことになると思います。

大学の求める人間像がここに現れていると解釈することもできます。ゆっくりじっくり一つ一つのことばを吟味し、精選し、自由に表現することが要求されていることが問題用紙から伝わってくるようです。

その点、TOEFLやIELTSのリーディングセクションで満点とれるような人でも、やってみたら何か発見がある試験だと思います。

 

2019年の問題

ここからは、最新の問題を振り返ってみましょう。問題と解答例は各予備校のサイトで見ることが出来ます。

2019年の京大英語は、読解が難しくなったという印象です。

英文の分量自体も昨年より少し多くなりましたが、本文自体も一読してすとんと腑に落ちるような英文ではありません。そういったこともあって、説明問題はなかなか手強い問題になっていました。

英作文は読解問題にくっついた自由英作文が1題と和文英訳1題でした。ここ数年は、和文英訳1題と会話の空欄を埋める自由英作文1題という形でしたが、今年は、自由英作文が読解問題の最後に吸収されています。

自由英作文のトピックは「カメラ付きスマホの中で重視する機能」を100語程度で述べると言うものでした。テクノロジーとの付き合い方という内容で、自由英作文のテーマとしては割とありふれたものだと思います。

以前は英文の下線部訳と和文英訳だけしかなかった京大入試ですが、最近はかなり「普通」になってきています。今年の自由英作文も、従来の意味での「京大らしさ」というものはかなり薄れた問題になったという印象です。

そのため、読解の読みにくさに比べたら、英作文は割と対処しやすかったのが今年の問題でした。

 

解答のポイント

大問Ⅰ

大問Ⅰは読解問題です。内容は「virtual reality(仮想現実)がはたらく仕組み」といったところ。

説明問題は本文のどこを答えるかということをしっかり見抜く必要があります。そこが分かったら後は和訳問題と同じように該当箇所をしっかり解答にふさわしい形で記述するわけです。

 

(1)下線部の説明問題
下線中のThatが何を指しているかを含めて下線部を訳出するといいです。Thatの内容は直前の文になっています。
語彙的にはそれほど難しいものはありません。説明問題なので、直訳を少しかみ砕いた訳にしてあげるとよりわかりやすくなるでしょう。
下線中のverb, nounといった語は、直訳では「動詞」「名詞」という文法用語ですが、本文に照らし合わせて、「動作を表すことば」や「ものの名前」などとわかりやすく解釈しても良いと思います。

 

(2)下線部の内容説明
この文も内容を表しているのは直前の文です。
前の文のmotion messagesが、下線部中のmotion languageという概念にまとめられていることを見抜くのはそれほど難しいことではないはずです。

 

(3)下線部訳
京大のお家芸である下線部訳問題です。5行以上の和訳問題をみたら、「あ~京大だな~」という感じですね。(この長さの和訳問題は京大と阪大ぐらいしか出題しませんね。)
難易度は標準的です。受験生ならここはしっかり点数を失わないで済ませたい問題です。
ポイントは以下。

scientific community 
「科学者の集団・コミュニティー」。scientificを「科学的な」とするとちょっと文意が不明瞭になるので、「科学者の」とするほうがわかりやすい。コミュニティーはカタカナを使っている解答例もありました。しっくり来るのでいいのではないでしょうか。

test out, what’s out in the world
“out” という副詞のイメージをしっかり持っておきたい。

on which to base expectations
英文解釈と相性が良さそうなフレーズ。《疑問詞+to 不定詞》の組み合わせ。base A on Bは動詞句で「Aの根拠がBにあるとする」といった意味。

virtual reality can start to feel real 
このfeelの意味は感覚的に分かる人も多いでしょうが、主語が事物になっているので訳出には注意が必要。
このfeelの意味はロングマンによると次のようになっています。

feel
③if a situation, event etc feels good, strange etc, that is the emotion or feeling it gives you.

日本語では「(事物が)~という感触を与える」という感じです。問題文の訳出では「現実感を持ち始める」とか「現実のものとして感じられ始める」と受け身っぽい日本語にするとしっくり来ます。VR「が」感じている訳ではないですよね。

ところでvirtual realityは、どのような訳語がふさわしいのでしょうね。予備校の解答ではどれも「仮想現実」となっていました。これが無難でしょうが、今ではVRという言い方の方がよく使われている気もします。

 

(4)空欄の単語補充
昨年から出てきた空欄補充。京大の国数英の問題としては珍しい客観問題です。難しくないので、全問正解したい。

ア make senseという結びつきが分かれば簡単。

イ benefitはここでは自動詞です。このbenefitはよくfromと結びつきます。benefit fromで「~から利益を得る」「~の恩恵にあずかる」という意味です。三単現の-sを付け忘れているようでは京大合格は難しい。

ウエ 文脈考える。形に注意。

 

大問Ⅱ

大問Ⅱも同じような長さの読解問題です。テーマは「デジカメやカメラ付き携帯電話がもたらしたもの」といったところ。ちなみにイギリス英語の文章。

 

(1)下線部訳
割と短い。簡単。

 

(2)下線部の説明問題
この問題が私は一番難しく感じました。難しいというか答えにくい。
第2段落の内容をまとめつつ、自分のことばで説明することが求められているようです。下線部全体で言っていることは「デジタル画像は写真に付随する情緒的意味を変えた」ということ。2段落の内容を考えると次のようにまとめられます。

《かつての写真》
・個々の写真をとっておいたり取り除いたりすることが情緒的意味を持った。
・最愛の人の印刷された写真はピントが合っていなかったり、ぼやけていたり、現像のミスがあってもとって置かれた。
・写真そのもにに重点があった。

《いまの写真》
・膨大な量のデジタル画像があるというコンテクスト。
・大切にするという行為は、きれいに加工したり、分類したり、タグ付けしたり、カテゴリー化したり、大部分を削除したりする作業になった。
・人付き合いの上での価値が低下した。
・写真を撮るという行為そのものに重点がある。

こういった内容を踏まえて、解答にふさわしい形でまとめると合格点と言えるでしょう。この問題は予備校の解答例でも最も予備校によって違いがありました。わりとあっさり述べた解答もあれば、倍ぐらいの長さの解答もありました。

 

(3)下線部訳
長めの下線部訳。この出来が合格を分けそうな問題です。
Yet, it, fabourite, commenter, so they can, allow for, in practiceといった語句の訳をしっかり伝わる日本語で表したいところです。

 

(4)自由英作文
本文の内容を踏まえて「カメラ付き携帯で重視する機能」について述べる。
本文で述べられている点は次の3つ。

  • to capture memories
  • to maintain relationships
  • to express yourself

「カメラつき携帯」であることのメリットを生かすなら、後ろの2つのどちらかを選ぶ方が書きやすいかな思います。最初の「思い出を残す」は従来のカメラでも十分できることですので。

 

大問Ⅳ

和文英訳です。結構長い。

長いけど、それほど訳出に苦しむ語句はないはず。受験生なら内容をくみ取ってしっかり自分の使える言葉で表現することが出来れば十分合格点になるはず。

レベルアップしたいなら、「安全な書き方」と同時に直訳っぽい表現も身につけていくといい。

「AをBに還元する」
→reduce A to B

「管理職」
→managerial posts, executive positions

こういった言い方は高校生にはなかなか難しいです。そんなときは、文意を考えて意訳を試みて「安全な」解答を書けば十分でしょう。

予備校も多くは解答例を2つ出していて、片方は内容をかみ砕いた意訳になっています。

minorityは「(概念としての)少数派」のときは、不可算ですが、「(ある)少数派集団」のときは可算名詞です。ここは注意。

 

まとめ

大学入試改革の流れもあり、多くの大学がスタイルを変えつつあります。

京大も例外ではなく、ここ数年で大きな変化をしています。そして、毎年のように少しずつスタイルを変えつつあります。

最高学府も試行錯誤している様子が窺えます。

中には京大らしさがなくなったと嘆く人もいますが、これはこれでおもしろい変化なのではないかと私は思っています。

ただ、自由英作文はもっと「普通じゃない」ような問題が見たいな~なんて誠に勝手ながら思っています。さすが京大、みたいなやつ。(どんな問題だよと言われたら困りますが。とにかく、何か「オモロい」やつのことです。)

「オモロい」ことを探し求める人が多い大学だと思いますので、もっと「ひねくれた、変な」問題が見てみたいなんて、1人の京大英語ファンとして、不謹慎にも思うわけです。

POSTED COMMENT

  1. える より:

    いつも記事楽しく読んでおります。
    以下の部分が簡潔でよくわからなかったのですが、本文中ではどういう意味になりますか?
    【on which to base expectations
    英文解釈と相性が良さそうなフレーズ。《疑問詞+to 不定詞》の組み合わせ。base A on Bは動詞句で「Aの根拠がBにあるとする」といった意味。】

    • kazetori より:

      こんにちは。コメントありがとうございます!

      the world on which to base expectation 全体では、「予想の根拠とする世界」といった意味です。

      base A on B で「Aの根拠をBに置く」「BをAの根拠とする」

      the world on which to base expectation は
      the world on which they can base expectations ぐらいの意味です。

      疑問詞+to 不定詞はこのように関係詞で表せる内容をイメージしたら、意味が掴みやすくなると思います。

  2. える より:

    ご返答ありがとうございます。
    関係詞+to不定詞という意図だったのですね。

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