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【英語学の入門書をさらに紹介】意味論・冠詞論・英語史の世界へ踏みだそう!

「英語学」についてもっと知りたい! そんな方向けに、さらに英語学に関する入門書を紹介します。読むと、文の意味、冠詞の使い方、英語史について、ちょっとだけ詳しくなれるはず。

今回の記事は、こちらの記事の続編になります。

『謎解きの英文法』

  • 謎解き仕立てで読み飽きない
  • わかりやすい解説
  • シリーズで多くの事項をカバー

最初に紹介するのは、学校文法で教えてくれない英語の「謎」に迫る人気シリーズです。このシリーズにはいろいろな巻がありますが、私が一番おすすめなのは『謎解きの英文法 文の意味』(久野瞭・高見健一著 / くろしお出版)です。

この本は、学校文法では説明できない英文の諸問題を、実例を元に規則を導きながら「解き明かしていく」というコンセプトになっています。

例えば、学校では受け身文は、文の目的語を主語にして、「be動詞+過去分詞+by 動作主」と習います。しかし、“John read Hamlet yesterday.” という文を、次のような受け身文にはできません。

?? Hamlet was read by John yesterday.

これがどうしてか、様々な実例を検証しながら、受け身文成立の条件を導き出すというのが本書の第2章です。

タイトル通り、謎を解き明かすという本の展開になっているせいか、割と飽きずに読み通すことが出来ます。かなりわかりやすく書かれてはいますが、時折初心者には難しい説明になることもあります。それでも、じっくり時間をかけて何度か読んでいくうちに、それなりに腑に落ちるようにはなっています。

このシリーズにはいろいろなものがあるので、タイトルをみて興味を持ったものを選ぶといいと思います。

『文の意味』を読んだ後に進むには、『時の表現』『冠詞と名詞』なんか結構おすすめです。

 

『ここがおかしい 日本人の英文法』

  • 日本人ならではの間違いをネイティブ目線で解説
  • 世の文法書の記述をもっと実践的かつ体系的に整理できる

こちらはネイティブの英語の先生が執筆した本です。

著者のミントン先生は、長年日本人に英語を教えてきた日本人に英語を教えるエキスパートです。その経験から、日本人がとりわけ「弱点とする」文法事項を丁寧に解説してくれています。

この本もとても読みやすい語り口で書かれているので、英語についてもっと知りたいという高校生にも結構おすすめです。学校で使う文法書には載っていないか、曖昧に濁されているところは、こういうことだったのかという発見があるはずです。

このシリーズはⅠ~Ⅲまで出ているのですが、おすすめは断然黄色いカバーのⅠ巻です。

時制や助動詞の使い分けの感覚など、文法書は読んだけどいまいちぴんと来ないという時は参考になる説明がたくさんあると思います。

学校で文法を習って、問題集や長文問題を解いて、「なんとなく使える」から「本当に実用的な知識として身につく」までの間を埋めるにはこういった本にあたることも必要です。

私は曲がりなりにも英語を教える職についてから、この本を初めて読んだのですが、新しい発見がいっぱいありました。

いままで感覚で「こういうときはこれ」みたいに考えていたのが、しっかりと体系的に整理されたような気分でした。そしてそれまでの自分がいかに「文法」というものをちゃんと分かっていなかったことに気づきました。

 

『わかりやすい英語冠詞講義』

  • 冠詞とついに向き合うときが来たという人はまずこれ
  • 説明がとても丁寧
  • 英語を新たな目線で捉え直すきっかけになる

冠詞と聞くだけで、も~イヤ、となってしまう人もいるのではないでしょうか。やはり上級者にとっても冠詞というものは最も扱いが難しい文法事項だと思います。

高校で使われている文法書にもたいてい「冠詞」と銘打った章はありますが、なかなかそれだけでは真の冠詞の姿をつかむのは難しいです。上級者だろうと、実際にそれまで読んだり聞いたりした英語を元に、なんとなく感覚で冠詞を使い分けているという人が多いと思います。

この本は、そんな「感覚的冠詞使用者」から脱却し、少しでも冠詞というものが担う世界を体系化してまとめようとしています。タイトルからしたら難しそうですが、実際にはそれほどでもありません。

確かに最初に紹介した入門書『くらべてわかる英文法』ほどの読みやすさはありませんが、「わかりやすい」とタイトルで謳っている通り、しっかり理解しようとして読んだら誰でも理解できるようになっています。

「有界的」「前方照応・後方照応」という、いかつい名前の用語も出てきますが、これらが冠詞の世界観を描き出すかなり有用な材料になっています。タイトルでひるまずに最後まで読み通すとちょっとだけ今まで目にしていた英文も新たな感覚で見つめ直すことができるはず。

その点で、この本は、今回挙げた書籍の中ではいちばん、「英語を見る目を変えてくれる」良書だといえます。

 

『knowのkはなぜ発音しないのか?』

  • 当たり前に使っている英単語の疑問に答える
  • 解説がとてもわかりやすい
  • 英語史の入門書としてベストの内容

最後に紹介するのは英語史についての本です。

タイトルは『語源でわかる中学英語 knowのkはなぜ発音しないのか?』となっています。タイトルだけみると文法の雑学本といった感じですが、中身で扱われているのは基本的に英語の変遷、つまり英語史に関わる事柄です。

コンセプトとしては、中学校で習うような英語の基本的な現象を語源から解き明かすというものです。語源というのはこの場合広く英語の歴史をさしているという感じです。

アルファベット順にキーワードが並んでいて、その語の由来や変遷について説明がされています。

いくつか、おもしろそうなトピックを紹介しましょう。

  • ChildとChildren なぜ複数形が-renをつけた形に?
  • FootとFeet かつては不規則ではなかった不規則複数形
  • Goの過去形の謎 goの過去形がなぜwentなのか?

英語史の基礎を学んだ人ならいずれも理由は思い浮かぶでしょうが、本書はまったくそのような知識のない人に向けて書かれています。

説明も中学校の教科書のように、わかりやすいイラストと共に大きな文字で記述されています。

この本は2018年に発売されました。私は正直最初、タイトルにはあまり惹かれませんでした。しかし読んで見ると、かなりおもしろい。

わかりやすい記述で、一般の学習者にもなじみ深い英語の疑問について丁寧に解説されています。英語以外にドイツ語、フランス語、ラテン語、ギリシャ語などを学習したことがある本格化の人にも十分楽しめる内容です。

今となっては、2018年読んだ本の中でも一番読んでおもしろかった1冊です。

 

まとめ 英語ともっと友だちに

英語について深く知ると、それまで見ていた何の変哲もない英文が、また違った面白さを持っていることが見えてきます。

冠詞には冠詞の壮大な世界があり、一つの単語には遙か古代から受け継がれてきた歴史があるものです。英語学の入門書を通して、英語のそんな新たな魅力に気づけたら、英語学習はもっとおもしろくなるのではないかと思います。

そして入り口から覗くその世界に魅せられたのなら、より専門的な学習へとステップアップしてもいいでしょう。言語の世界をそうやって旅することも、おもしろいのではないでしょうか。

 

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