フランス語

【シャドーイング vs ディクテーション】リスニング練習法の効用を再考します

リスニングの練習法としてよくあるものに、シャドーイングディクテーションというものがあります。今回は、この2つの学習法について、その効用と、メリット・デメリットを改めて考えてみました。特に、シャドーイングに対するディクテーションの意義について深く考えてみたいと思います。

うまくかみ合うと、「音」を中心として、英語の各技能をバランスよく鍛えることができます。

シャドーイング

シャドーイングとは、聞こえてきた音声をそのまま少し遅れて復唱する学習法です。影のように音について行くのでこの名前がついています(多分ですが)。シャドーイングについては、以前の記事でも書いているので、ここでは簡単にまとめるにとどめておきましょう。

 

シャドーイングの効用

シャドーイングの効用は、いくつかありますが、主に挙げられるものは以下です。

  • 発音がよくなる
  • 英文理解力がつく
  • アウトプットにもつながりやすい

シャドーイングは、なんと言っても、音をそのままそっくりまねして自分で生成する練習です。英語の「音」に慣れるにはいちばん手っ取り早いトレーニングになります。

また、ナチュラルスピードの音声をシャドーイングする場合、読まれる音声をある程度理解しながらでないとシャドーイングは難しいです。意味がわかる文でないとなかなか《耳→頭→口》と英語が流れていかないのです。(何はともあれ体験するのが一番です。)

たとえば、日本語で誰かが話しているのをシャドーイングするのは私たちには簡単です。意味もわかるし、次に何の文字がくるかも無意識にわかりながら聞いています。音もわかります。

一方、まったく知らない言語をシャドーイングするのはほぼ不可能です。どれだけゆっくり読んでもらっても難しいです。(学習経験のない人がいきなりアラビア語をシャドーイングしようとしても無理です。試してみてください。)

シャドーイングは、聞きながらある程度英文を理解しないといけません。それはつまり、一定以上の部分は次に何がくるか予想しながら英語を聞いていることになります。

その段階がさらに進むと、自分で英語を話すのにのにもつながるわけです。瞬間的な理解は、頭に浮かんだことを瞬間的にアウトプットすることへと通じているのは、ある程度語学に堪能な人なら理解できるのではないでしょうか。

 

シャドーイングのメリット・デメリット

メリット

  • 手軽
  • すぐできる

デメリット

  • 人がいるとできない
  • 疲れる
  • 漫然とした練習になりやすい

シャドーイングのメリットは、なんと言ってもその手軽さです。音声さえあれば、すぐに練習できます。学習のウォーミングアップにもぴったりです。

机がなくても、筆記具がなくても学習にはそれほど支障がありません。スマホさえあればできるというのもありがたいところです。

一方、シャドーイングは自分で音を聞いて音声を発するため、周りに人がいると練習できません。

また、シャドーイングは「しゃべる」ことが大きな部分を占めます。ある程度はっきりと発音し続けることが必要なので、すぐに喉が疲れます。(個人差あり)

喉も渇きますし、長時間は結構しんどいところです。

 

ディクテーション

ディクテーション(dictation)は、所謂「書き取り」です。聞き取った音声をその通り文字に起こすことです。

ディクテーションの効用

  • 文字と音の回路をつくる
  • 聞き取れない「音」に強くなる
  • スペルに強くなる

ディクテーションは、音と文字を結びつける練習です。そのため、綴り字と発音の間にギャップがある英語には非常に効果的な練習と言えます。

また、ディクテーションでは、ピンポイントでそれぞれの単語を聞き取れないといけません。「なんとなく全体で意味がわかる」では不十分です。そのため、「精聴型」の練習になります(そんなものがあるとしたらの話ですが)。

聞いても意味がわからないけど、スクリプトを見たら「なんだ、こんなことを言っていたのか」となるような場合も効果的です。ディクテーションをすることで、当たり前の単語の音の変化にも強くなれます。

シャドーイングがリスニング力を総合的に向上させる練習だとしたら、ディクテーションはピンポイントの局部治療とも言えるかもしれません。

シャドーイング
→総合力をバランスよく鍛える通常トレーニング

ディクテーション
→「音」と「文字」を結びつけながら、聞き取れていない音にフォーカスした局部治療

 

ディクテーションがものを言うとき

特に、学習の初期段階では、ディクテーションをして書いてみることも英語においてはとても重要です。

それに関して、私はこんなエピソードがあります。

中学生が単語小テストの勉強をしているときでした。

中学1年生が、単語の小テストで “station” という単語を覚えないといけないとなったら、どうすると思いますか。

多くの子は、「すたてぃおん」なんて発音してスペルを覚えようとします。ある程度英語ができる人からしたら、笑ってしまうような方策ですね。

しかし、発音と文字のつながりができてない段階では、多くの生徒が文字に「ローマ字風の音」を勝手につけて乗り越えようとするのです。

そうはいっても、英語を上達させるには、「英語の音」「英語のスペル」と結びつけていかないといけません。先生は口を酸っぱくして、発音を「スタティオン」ではなく “station” という音をイメージしながらスペルを書くように指導し続けないといけないわけです。

英語はなんと言っても「音」を中心に変化してきた言語です。そのため、英語の綴り字と音がまだまだ一致していない段階では、手っ取り早く「音」をスペルに直結させるディクテーションは効果的です。

逆に、英語もある程度上達してきて、単語を見たらほとんど発音はできるという段階では、ディクテーションの即効性は弱まります。

よほど省略や聞き取りにくい言い回しがでてくるようなパッセージでないと、上級者にとってはディクテーションは時間と労力に対する効果が弱まるようです。

たまにやってみると発見もあるのですが。

 

英語には有効なディクテーション

先のエピソードからも明らかですが、英語という言語は、ディクテーションの効果が大きい言語です。発音と文字はしばし一致していないので、発音と音を無理矢理一致させるディクテーションは英語の音声認識回路をつくるのに役立つわけです。

発音と綴り字が概ね一致している言語では、(学習の初期段階をのぞいて)それほどディクテーションの効果は高くないようです。たとえば、ドイツ語やイタリア語などの発音とスペルが一致している言語のディクテーション教材などほとんど私は見たことがありません。

これらの言語は、発音の規則さえ覚えてしまえば、初めて見る単語でも発音できますし、初めて聞いてもスペルをイメージすることができます。「この文字はこの音」というのが決まっているからです。

日本語の仮名もそうです。音を聞くと文字を思い浮かべるのは簡単ですよね。一部の音便変化をのぞいて、「この文字はこう読む」というのは不変です。「あ」の文字は、どこにあっても[A]と読みます。

センター試験の英語には発音問題なんかあって、多くの受験生が失点するところですね。スペルと発音が一致している言語では、そもそも発音問題なんて成立しません。するとしたら、超初心者向けに発音の規則を尋ねるか、その例外を訊く問題だけです。

英語やフランス語では、一方で、ディクテーションを扱った教材は多いです。フランス語も英語よりは発音とスペルが一致していますが、黙字やアクセント記号など、「音」だけでは表せない字の違いも多いです。

そういうわけか、フランス語ではディクテ(ディクテーションのこと)仕様になった教材はとても多いです。フランス語検定にもリスニングにディクテ問題はあります。

英語でも、IETLSのリスニング試験の半分、ケンブリッジ英検リスニングの4分の1はディクテーション問題になっています。

英語やフランス語の綴り字と音の関係を身につけるには、ディクテーションが効果的であり、上級者でも最後まで手こずるところであると言えるでしょう。

 

ディクテーションのメリット・デメリット

メリットは上に上げたとおりですが、音とスペルの関係が身につくということです。

また、弱い音をピンポイントで聞き取ろうとすることで、リスニング力そのものの向上にも効果的です。

聞き取れていない点を洗い出すときにも効果的です。ディクテーションをしていると、どの音(とその変化)に自分が弱いかということが一目瞭然です。

一方で、ディクテーションの不利な点は何より時間がかかるという点です。1分ぐらいのナチュラルスピードの英文を全文ディクテーションしようとすると、下手すれば30分ぐらいの時間がかかります。

話すスピードに対して書くスピードは絶対的に遅いので、まとまった文章をディクテーションするとなると、相当繰り返し聞かなければなりません。その分どうしても時間がかかってしまいます。

英語にある程度堪能な人は、シャドーイング中心となりがちなのも無理からぬところだと思います。

 

まとめ

シャドーイングもディクテーションも、やったことがない人は、とにかくやってみることが第一歩です。

その経験があって、それを継続して、ようやく英語力みたいなものはぼんやりとついてきます。

このサイトは、「この学習がベストです」ということを示すことを標榜していません。あくまで、「こんな学習法もありますよ」とか、「私はこうやって学習しました」ということを提示するに過ぎません。

学習法は人それぞれですし、第三者がこうしろというのが万人に当てはまるわけはありません。

(そんなものがないから、いろんな人がいろんなことを言っているわけです。どれが正しくて、どれが間違っているなんて正直ないと思っています。ただ、万人にとってベストなものはないということだけがはっきりしています。)

まあでも、一般論として、「こういう学習にはディクテーションをやってみるのがいいかも」ということは(かろうじてですが)言えるのかなと思います。あくまでそういった内容を紹介したまでです。

なにはともあれ、ディクテーションだろうがシャドーイングだろうが、やってみることです。

やってみることが自分なりの学習法を考えていく第一歩です。

 

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