フランス語

『星の王子さま』をフランス語で読む 【フランス語の読解のポイントを解説】

サン=テグジュペリの『星の王子さま』は、言わずとしれた世界文学の名作です。今回は、そんな『星の王子さま』を原文であるフランス語で味わってみようと思います。非常にやさしいことばで書かれたフランス語を通して、フランス語の読解力をアップさせましょう。

今回の記事は、フランス語の初級文法を終えた(or ほとんど終えた)人を対象にしています。実際のフランス語とはどんなものか、少しでも垣間見ることができたらそれでいいと思っています。

 

原文

今回読んでみるのは、第1章の冒頭の部分です。

本来ならこの前に 『レオンベルトに』(A LÉON WERTH)という前書きのようなものがあるのですが、そこは飛ばして物語本文からいきなり読んでいきます。

ちなみにですが、フランス語の原題は《Le petit prince》です。直訳すると「小さな王子」ですね。「星の」は日本語訳のオリジナルだと思います。

それでは実際に読んでみましょう。第1章の冒頭は次のような文章になっています。

Lorsque j’avais six ans j’ai vu, une fois, une magnifique image, dans un livre sur la Forêt Vierge qui s’appelait “Histoires Vécues”. Ça représentait un serpent boa qui avalait un fauve. Voilà la copie du dessin.
ぼくが6歳の時、一度だけ、『本当の話』という名前の、未開の森についての本で、すごい絵を見た。それは、大蛇のボアを描いていて、そいつが猛獣を飲み込んでいる場面だった。これが、その絵のコピーだ。

On disait dans le livre: “Les serpents boas avalent leur proie tout entière, sans la mâcher. Ensuite ils ne peuvent plus bouger et ils dorment pendant les six mois de leur digestion”.
本にはこう書かれていた。「ボアは獲物を嚙まずに丸呑みしてしまう。そしたらボアは動けなくなり消化に要する6ヶ月間、眠ることになる。」

J’ai alors beaucoup réfléchi sur les aventures de la jungle et, à mon tour, j’ai réussi, avec un crayon de couleur, à tracer mon premier dessin. Mon dessin numéro 1. Il était comme ça:
そこでぼくは、ジャングルの冒険についてあれこれ考え、今度はぼくが色鉛筆で最初のイラストを書き上げた。ぼくのイラスト1だ。それはこんな感じ。

引用元:http://gutenberg.net.au/ebooks03/0300771h.html#ppded

以上が冒頭の文章です。実際の本にはあの独特のイラストが添えられています。イラストは引用元のリンクから見ることができるので、そちらでご確認ください。

 

1文目

 

※ 実際のイラストとは違います。

 

Lorsque j’avais six ans j’ai vu, une fois, une magnifique image, dans un livre sur la Forêt Vierge qui s’appelait “Histoires Vécues”.
ぼくが6歳の時、一度だけ、『本当の話』という名前の、未開の森についての本で、すごい絵を見た。それは、大蛇のボアを描いていて、そいつが猛獣を飲み込んでいる場面だった。これが、その絵のコピーだ。

語彙

※ 名詞の m, f はそれぞれ、男性名詞、女性名詞を表しています。

  • lorsque(接)~のとき
  • vu < voir(動)見る
  • fois, f (名) 回
  • magnifique (形)すごい、壮大な
  • image, f (名)イメージ、図
  • livre, m (名)本
  • sur (前)~について
  • forêt, f (名)森
  • vierge (形)未開の
  • s’appeler (動)~という名である
  • histoire, f (名)話、物語
  • vécu (形)体験された、実際にあった

これが本文の最初の文です。いかがでしょうか。いくつか難しい単語もありますね。

以下では、重要な語句やその用法について解説します。

Lorsque「~のとき」
接続詞で、ここでは過去の一時点を表しています。

j’avais six ans「ぼくが6歳だった」
フランス語では、「~歳だ」というときに、”avoir ~ ans” と言います。直訳では「~年をもっている」ということですね。ここでは、過去のことですので、動詞はavais半過去になっています。『星の王子さま』では、基本的に過去のことは半過去か複合過去で語られていきます。

j’ai vu
vuは動詞voirの過去分詞です。時制は複合過去になっています。過去の一度だけの出来事を表しています。

une fois「一度」
foisは名詞で、「回」です。ここではコンマで区切られて挿入されています。

qui(主格の関係代名詞)
s’appelaitの主語で、先行詞は、un livre sur la Forêt Viergeです。

s’appelait「~という名だった」
appelerは直訳では「呼ぶ」です。s’appeler ~ で「自分自身を~と呼ぶ」つまり「~という名である」というわけです。

Histoire Vécues「本当の話」
フランス語の “histoire” は、英語の “history” と “story” 両方の意味があります。vécuは形容詞としましたが、もともとはvivre(生きる、体験する)の過去分詞です。「体験された話」というわけです。

以上が最初の文のあらましです。初めてフランス語を読むなら難しいと感じるかもしれませんが、何事も慣れです。

何度も何度も各単語をよ~く見ながら読んで見てください。そのうち、前から意味が掴めるようになっていきます。

 

2-3文目

Ça représentait un serpent boa qui avalait un fauve. Voilà la copie du dessin.
それは、大蛇のボアを描いていて、そいつが猛獣を飲み込んでいる場面だった。これが、その絵のコピーだ。

  • représenter (動)描く、表す
  • serpent, m (名)ヘビ
  • boa, m (名)ボア(南米に生息する大蛇)
  • avaler (動)飲み込む
  • fauve, m (名)猛獣
  • voalà (副)ここに~がある
  • copie, f (名)コピー
  • dessin, m (名)デッサン

Ça「それ」
代名詞のÇaは、前出の事柄や状況を指して、「それ」の意味を表します。どちらかというとカジュアルな言い方です。フォーマルではcela, ceciを使います。

un serpent boa qui avalait un fauve「猛獣を飲み込んでいる大蛇ボア」
関係詞のquiがまた使われていますね。後ろからかけるなら「猛獣を飲み込んでいるボア」です。関係詞節内の動詞はavalaitと半過去になっています。半過去であることで、「飲み込もうとしている(まだすっかり飲み込んではいない)」という段階を示しています。半過去はこのように、「行為の途中」や「未完了」を表す場合にも使われます。

Voalà「ここに~がある」
直後に名詞を取って、「~がありますよ」「~をどうぞ」という便利な単語です。日常的にもよく使います。

2文目の後には、ボアが猛獣にぐるぐる巻き付いて食べようとしているイラストが挿入されています。読んだことある人ならすぐ分かりますね。

 

4-5文目

On disait dans le livre: “Les serpents boas avalent leur proie tout entière, sans la mâcher. Ensuite ils ne peuvent plus bouger et ils dorment pendant les six mois de leur digestion”.
本にはこう書かれていた。「ボアは獲物を嚙まずに丸呑みしてしまう。そしたらボアは動けなくなり消化に要する6ヶ月間、眠ることになる。」

  • dire (動)言う
  • dans (前)~の中で
  • proie, f (名)獲物、餌食
  • tout (副)すっかり、まったく
  • entier, -ère (形)全体の
  • sans (前)~なしで
  • mâcher (動)嚙む、咀嚼する
  • ensuite (副)そして、その後
  • pouvoir (動)~できる
  • ne – plus もはや~ない
  • bouger (動)動く
  • dormir (動)眠る
  • pendant (前)~の間
  • mois, m (名)月、一ヶ月
  • digestion, f (名)消化
  • On disait「~と書かれていた」

on (漠然と人を表す)
onは漠然と人を受けますが、ここでは、その本の内容を指しています。onは動作主をはっきりと示さないため、しばし訳例のように日本語の受動態で訳すとしっくりきます。direは「言う」ですが、「本の中で人が言う=書かれている」と考えていいでしょう。

tout entière「全体まるごと」
飲み込まれているproieを後ろから説明しています。形容詞が名詞に合わせて女性形になっていることを見落とさないようにしましょう。

sans la mâcher「それを嚙まずに」
sans (英語のwithout) は、後ろに動詞の不定形をとると、「~せずに」という意味です。sans mâcherで「嚙まずに」です。ここでは、何を嚙まないのかを代名詞laで明示しています。la は前に出てくる女性名詞を受けています。ここではproieを指しています。

ne – plus「もはや~ない」
動詞をne – plusで挟むと「もはや~ない」という意味です。

 

6-8文目

J’ai alors beaucoup réfléchi sur les aventures de la jungle et, à mon tour, j’ai réussi, avec un crayon de couleur, à tracer mon premier dessin. Mon dessin numéro 1. Il était comme ça:
そこでぼくは、ジャングルの冒険についてあれこれ考え、今度はぼくが色鉛筆で最初のイラストを書き上げた。ぼくのイラスト番号1だ。それはこんな感じだった。

  • alors (副)そこで
  • beaucoup (副)たくさん
  • réfléchir (動)よく考える
  • aventure, f (名)冒険
  • jungle, f (名)ジャングル
  • à mon tour (熟)今度は(ぼくが)
  • reussir (動)成功する
  • avec (前)~とともに、~で
  • crayon, m (名)鉛筆
  • couleur, f (名)色
  • tracer (動)(線で)たどる
  • premier, -ère (形)第1の、最初の
  • numéro, m (名)数、ナンバー
  • comme (前)~のような

J’ai alors beaucoup réfléchi「そこでぼくはよくよく考えた」
動詞はréfléchirの
複合過去形ですが、その前に2つの副詞が入っています。(副詞はしばし、このように動詞の前に現れます。)

à mon tour「今度はぼくが」
tourは「(自分の)番、ターン」です。今度はぼくが(書く番だ)ということです。

j’ai réussi, avec un crayon de couleur, à tracer「色鉛筆で、書くことに成功した」
コンマでavec un crayon de couleur という前置詞句が挿入されています。avec(英語のwithにあたる)は「(道具など)で」という手段を表しています。文の動詞は réussir で、 《réussir à + 不定詞》で「~することに成功する」です。

comme ça「このように」
commeはここでは「~のように」。comme çaで「このように」です。日常的にもよく使います。

 

以上が《La petit prince》の冒頭の段落です。フランス語自体は、関係詞接や挿入がみられるものの、シンプルでわかりやすい文になっています。

詳しく解説するのは以上で、あとは続きの段落を簡単に紹介しておきます。ぜひ、自分で辞書や翻訳を片手に読んでいってみてください。

 

続き、そしてその先へ

※ 実際のイラストとは違います。

J’ai montré mon chef d’oeuvre aux grandes personnes et je leur ai demandé si mon dessin leur faisait peur.
そこでぼくは、ぼくの傑作を大人に見せて、この絵を見て怖いと思うか尋ねた。

Elles m’ont répondu: “Pourquoi un chapeau ferait-il peur?”
大人たちは答えた。「なんで帽子を見て怖いと思うんだい?」

Mon dessin ne représentait pas un chapeau. Il représentait un serpent boa qui digérait un éléphant. J’ai alors dessiné l’intérieur du serpent boa, afin que les grandes personnes puissent comprendre. Elles ont toujours besoin d’explications.
ぼくの絵は帽子じゃなかったのに。その絵は像を消化しているボアを描いていたんだけど。そこで、ぼくはボアの中身を描いた。これで大人たちも分かってくれるだろう。大人にはいつだって説明が必要なんだ。

こういった感じで話は続いていきます。

今回は以上です。『星の王子さま』は有名でかつ簡単な本ですので、学習にはもってこいです。

最初は難しいと思いますが、出てきた単語を覚えながら読み進めていくと少しずつフランス語の文章に慣れていきます。

こういう語順になるな~というのがだんだん見えてくると読むスピードも少しずつ上がっていくものです。

最初は誰だってゆっくりしか読めません。単語も時には一文読むうちに何度も何度も調べないといけなかったりします。でもそれは外国語が読める人なら誰もが通る道です。

どんなやり方をしようが極端な近道などありません。

1冊読み終えた後は充実感と達成感を味わうことができるはず。

それがまた新たなステップになり、語学の道は続いていくのです。

フランス語の多読ガイドは、以下の記事を参考にしてみてください。『星の王子さま』以外にも、いくつか入門向けの仏書はあります。

 

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