英語学習

【やるせな語学の100冊】私が使ってきた印象深い語学書を振り返りました

こんにちは。kazetori ( @kazetori2 )です。

このサイトでは、様々な言語について学習のアイディアや、語学のちょっとしたこぼれ話まで、いろいろな話を扱ってきました。

このサイトを作ったきっかけが、語学のネタを多くの方と共有するのもいいのでは、と思ったことでした。私自身、試行錯誤しながらあの手この手で語学に取り組んできました。

今回は、その経験から、私の印象に残っている語学書100選を紹介したいと思います。

選定基準は、役立つものというよりも、むしろ、私の「語学観」みたいなものに影響があったかどうかです。数々の教材を見てきた経験から、おもしろいと私が思ったポイントなども紹介していきたいと思います。

数が多いので、以下のようにジャンル分けをしました。

  • 基本テキスト
  • 単語集(単語帳)
  • 作文・表現・会話
  • 英語試験
  • リスニング
  • リーディング
  • 読み物
  • 辞書
  • 洋書・メディア

各ジャンルどれも思い入れがある書籍があるものです。目次が絶望的に長くなりましたが、気になったところだけを読んでもらっても、適当に目にとまった項目を読んでもらっても、きっと素晴らしい発見があるでしょう、とまでは言えませんが、暇つぶしぐらいにはなるのではと思っています。

この投稿は、1年近く続けてきた当サイトの見取り図になるように考えています。各項目には関連の深い記事をリンクしていますので、さらに深く知りたい方はそちらもご参照ください。

 

Contents

基本テキスト

語学書の基本は、初級文法を一通り学ぶためのテキストである。

英語なら、文型・時制から仮定法までの情報を詰め込んだ参考書ということになるだろうし、ドイツ語なら冠詞の格変化から接続法まで、ということになる。学習が進んでいっても時には参照することになるため、付き合いとしてはずいぶん長くなるものも出てくるだろう。

そのため、この類いは、書店に並ぶ語学書の中では最も数が多いジャンルであり、なかなか目移りすることも多い。

その分、「これだ」と思うものに出会える喜びは他のジャンルより大きかったりする。

 

1.しっかり身につく ドイツ語トレーニングBOOK

Amazonで「ドイツ語」と検索すると、この本が一番に出てくる。このテキストは、見た目上「問題集」であるが、基本的な構成は手堅い文法教材であるとも言える。最小限の説明に圧倒的な量の練習問題が続く。

それだけではどこにでもある文法教材なのだが、この本の特出すべきは、その問題量である。そして、ほぼすべての問題が「一つの完全文を作文する」という形式になっている。つまり、よくある選択問題や括弧埋めの問題集ではない。

ある言語を使えるようになる基礎体力は、簡単な文でもいいので、主語・動詞を含んでピリオドで終わるまでの文を書くこと以上のものはない。各言語に特有の語順も、語変化も、基本語・機能語の用法も、文を作りながら言語回路を脳に刻み込んでいくのである。

これは言語の考え方やリズムになれるために理にかなった揺るぎない方法である。しかし、一方でそのスタイルを体現した優れた教材は、案外少ない。

 

2.独険2級・3級受験者のための パワーアップドイツ語

ドイツ語の中級レベルの「構文集」といったないようである。最近の語学書では省略しがちな文語的な言い回しなども網羅してあり、さながら古き良き語学教材という趣である。

ドイツ語レベルとしては、準1級レベルとしても十分通用するような事項もあったりする。

 

3.An A-Z of Common English Errors for Japanese Learners

よくある文法ミスをまとめた所謂 “Common Errors” の本である。この類いは、海外の様々な出版社から出ている。「英語学習者はこういうミスをしがち」というのが集められている。

一方で、世界の英語学習者の中で、日本人にとりわけ多いミスというものもある。むしろ、そういうものは、随分多い。

この本は、日本人にありがちな英語の間違いを集めたという点で、我々にとってはありがたい存在である。

 

4.Learn to Read Latin

私の知る限り、最大・最良の語学教材は、Yale University Pressによるこのラテン語教材と、そのギリシャ語版である。

この本は、テキストとワークブックから構成されるのであるが、ワークの方の問題量が、常軌を逸しているレベルである。ラテン語の複雑な格変化も動詞の活用も、この問題をこなしていくと必ず身につくはずである。

そこまで言える語学教材を、私はこれ以外には知らない。

 

5. Learn to Read Greek

上記の教材のギリシャ語版である。学習事項がラテン語より多いギリシャ語では、テキストもワークブックも2冊ずつの合計4冊になっている。しかもどちらもA4版と、日本の語学書ではお目にかからない巨大なサイズである。

分厚さと重さと表紙の重厚感あるデザインと相まって、ギリシャ語版はさながら怪物のような語学教材である。

私は自問する。

これ以上の語学書って、ある~?

 

6.イタリア語入門講座

本書は、イタリア語の入門書としては残念ながら当時も今も、それほど人気の本ではない。

特に現代では、かわいらしいイラストをあしらって、「イタリア語は簡単だよ~」と語りかけてくれるような教材の方が人気なのである。そう考えると、『イタリア語入門講座』は文字も多く、なかなか人気が出ないのも理解できる。(そして誤植も多い。)

しかし、この堅実なスタイルで遠過去や接続法半過去まで解説してくれる教材は私としてはありがたかった。イタリア語は「入り口は広く、出口は狭い」なんて言われるが、こんな感じで入り口から引き締めていくような教材も、それはそれで愛着が持てるのである。

 

7.ニューエクスプレス+ ラテン語

ラテン語やるなら、まずこれだと私は思っている。

英語の語源系の本を勉強するなら、こっちのほうがよっぽど面白いし、英語の世界も広がるのではないか。「英語のcaptain, capitalの “cap” は《頭》という意味」ということを知っているのと、ラテン語を勉強して “caput” 《頭》というラテン語単語を知っているということは別である。英語の語源が語源として腑に落ちるには、パーツの意味を覚えるだけでは不十分である。古典語の単語を、生きた言語として知るしかないのである。

語源学習のやるせなさはここにある。逆に言うと、本書はそのやるせなさを乗り越える好素材である。

 

8.新ラテン文法

「新」というタイトルを冠しているが、実際はかなり苔むした感じの教材である。

私が初めてラテン語を学んだときは、この教材を使った。

正直、決して使いやすい本ではないが、小さい割には充実した内容で案外後になっても重宝したものである。絶妙に「使いにくい」活用表も、それはそれで味があるものである。

 

9.総合ロシア語入門

これは私が一番最近使った教材である。ロシア語教材はフランス語やドイツ語などに比べると選択肢が減るが、本書はその中では一番手加減がない重厚感がある。

ロシア語に限らずであるが、第二外国語の入門教材は、ハードルを下げる方向に向かうことが多い。そのため、初級教材は「難しくないですよ~」というスタイルになっていることが多いのである。それはそれで仕方がないのであるが、その弊害も確かにある。難しさを小出しにする方が結果的には学習しにくくなるなんてことはよくある。

この本は、「入門」という名を冠している割には、後半の章は19以降のロシア文学作家の文を(膨大な語注と共に)読ませるなど、なかなか歯ごたえのある1冊になっている。

「独習できるようにデザインされた」と書いてあるが、独習でこの本を使ってロシア語勉強するのは、なかなかハードルが高い。それなりに語学の経験がないと厳しいと私は思うのだが…。

 

10.古典ギリシア語入門

岩波書店の『古典ギリシア語入門』は、一昔前までは、古典ギリシア語の定番教材であった。西洋古典語に通じている方なら、「田中・松平」と言えば大体これのことを指していると了解してもらえる。

私は大学に入った4月から、ちまちまとこの練習問題を解いていって花の学生生活を地味に棒に振ってしまった感すらある。

くねくねしたギリシア文字をくねくね書いていくのが至福の時であった。

 

11.古典ギリシア語初歩

上記の本よりは新しい教材だが、最新というほどのものでもない。

私は大学2年目の4月から、ちまちまとこの練習問題を解いていって、大学生活を相変わらず棒に振り続けてしまった感がある。授業で使っていた先生は、ひたすらこの本の悪口を言っていたので、「そこまで言うなら、教科書に指定せんかったらいいやん」と思っていた。

 

12.Wheelock’s Latin

英語圏では定番中の定番のラテン語教材である。文法の説明だけでなく、古代ローマ文明についての記述など、読んで飽きない。

 

13. MANUEL PRATIQUE DE LANGUE FRANCAISE

フランス語教材としてはポピュラーではないが、コンパクトさと内容の充実具合は類書とは一線を画している。

単純過去や接続法半過去まで、押さえるべきポイントは押さえつつ、このサイズにまとまっているのはフランス語の達人たちの叡智が詰まっているのだろうと思われる。活用表もすこぶる見やすい。

この本で学習を始めると、学習が進んでいっても気軽に参照する文法書として重宝されるだろう。

 

14.ニューエクスプレス+ ロシア語

語学好きで『ニューエクスプレス』を知らない人はいないだろうが、黒田先生のロシア語版はなんだか他とは違うと感じる。本文や会話の記述がまず面白い。話の展開が謎だったり、不毛だったり、読みながらじわじわ笑いがこみ上げてくる。

入門書の入門書というぐらいの位置づけにしてあるので、かなり記述された事項は絞られている。同シリーズの他の言語より、「挫折しないで」という書き手の思いが伝わってくるかのようである。

 

15.The Ultimate French Review and Practice

英語で書かれたフランス語問題集は、これがいちばん使いやすい。フランス語で挫折しやすい一番最初のポイントは、直説法現在の活用だと私は思っている。規則動詞を学習した後は、不規則動詞が次から次に果てしなく出てくることになる。それらをまとめてやっつけるなら、本書のスタイルはなかなかいい。

接続法の記述も特出すべきものがある。

 

16.PONS Praxis Grammatik Russisch

ドイツの有名出版社PONSから出ているロシア語の文法書である。PONSは私が知る限り、日本の白水社・研究社と並んで、世界で最も優れた語学書を出版する会社である。

本書はA1~B2までと銘打ってある通り、ロシア語の幅広い文法事項を十分深く扱っている。日本の分厚い中上級向けの文法書に長々と書いてあるようなことも、コンパクトにすっきりまとまっているので、その点も非常に使い勝手がいい。

「不規則」で片付けられがちな格変化や動詞の活用も、原理までしっかり解説されている。

素晴らしい教材であるが、もちろん、最大の弱点は、ドイツ語が分からないと使えないという点である。こりゃもう、どうしようもない。

 

 

単語集(単語帳)

単語集とは、よくよく考えてみたら、とてもありがたき存在である。これがなかったら、新たな単語を覚えるときは、文章を読んで出会った単語をいちいち覚えていくか、辞書そのものを覚えていくぐらしか方法がない。

単語集は、重要単語を重要なポイントと共にまとめてくれている。英単語集に至っては、レベル、ジャンル、形式など、全くどれを選んで良いのか分からないぐらいの選択肢がある。語彙力は、語学力におけるもっとも実力を最も反映しやすい要素であり、ある言語を使う場合の基礎体力に他ならない。そのため、星の数ほどある(実際にはそんなにないけど)単語集から自分に合った1冊を選ぶ作業も、そのぶん慎重になるのである。

 

17.パス単英検準1級

中級から上級向け(大学受験なら難関大受験レベル)の単語集で、私が1冊選ぶとしたら、英検でおなじみ『パス単』にする。『パス単』の『準1級』だ。英語上級者になるためには欠かせない語彙が、シンプルなレイアウトでまとまっている。

このレベルの単語集は、それこそ書店でも最も選択肢が多いレベル帯になるのだが、私はこの『パス単』のシンプルなレイアウトが好きなのである。最低限の訳語と、多めの関連語、1語につき例文ひとつ、たまにコロケーションや語源を補ってくるあたり、なかなか憎めない。

私にとって、シンプルであるということは、語学教材以外においても結構重要な視点である。シンプルであるものはなんだって応用が自由に効くからである。シンプルな教材で、余白を持たせた学習ほどストレスの少ないスタイルはない。

 

18.究極の英単語 vol. 4

アルクの『究極の英単語』シリーズの真骨頂は、なんといっても最終巻の4冊目である。このシリーズは、SVL 9~12(9000~12000語レベル)の語彙を全単語余すことなく収録している。

無数にあるように思われる英語教材とはいえ、このレベルの単語集になると選択肢が激減する。そういう事情もあって、なかなか希有な存在である。

『究極の英単語』は、学術語から俗っぽい単語まで、幅広いジャンルの単語をわりと雑食といった感じである。この単語集まで覚えてしまうと、ほとんどの洋書は、まあ、一通りは楽しむことができるだろう。

 

19.本気で鍛えるフランス語 覚える初級編

この本は本来単語集ではないのであるが、単語集的な使い方もできるし、事実私はそのようにつかったのでこのジャンルに分類した。以前は「本気で鍛えるフランス語」というタイトルだったのが、いまは上記アマゾンリンクの題名に変わっている。

仏検対応と言うこともあるが、第2外国語教材としてはあまりない、語法までしっかり踏み込んだ教材になっている。意外にこういう教材ってないのよ。

 

20.例文で覚える中学英単語・熟語 1800

これは中学向けの英単語・熟語集である。なんと言うことはない、私が一番最初につかった単語集でなんとなく愛着もある。

例文で覚える、というスタイルなので、英語教材ではあのDUOを彷彿とさせる作りになっている。それを中学生用に2周りぐらいかわいらしくした感じといったらいいだろうか。

私は健気にこの例文を覚えたものである。その経験は高校入学後も多いに役に立ったものだ。

 

21.キクタン Super 12000

『キクタン』シリーズで私のベストは2冊目の『キクタン Advanced 6000』なのであるが、ここではあえて最上級の1冊を挙げておこう。12000語レベルと言っても、このシリーズは収録語自体が少なめなので、網羅性は残念ながらあまりない。(本当の12000語レベルの語彙を身につけたいなら、覚悟を決めて『究極の英単語 vol.4』である。)

ともあれ、大学受験なら最難関大でも十分通用するだろうし、何よりにとっては長年使った愛着あるシリーズではある。

 

22.英検1級英単語大特訓

英語の超人、変態、怪人、植田一三先生の、英検1級向け単語本である。この本は、(植田一三語彙本のお決まりなだが、)あまりに変態的なレベルになっているので、凡人はそもそもどうしようかと途方に暮れるしかないようなレイアウトになっている。

(植田一三語彙本のお決まりなのだが、)とても学習者にやさしいページ構成とは言えない。(植田一三語彙本のお決まりなのだが、)発音記号もなければ、一語一語の訳語もついていない。植田一三語彙本は、読者にこう語りかける。

「単語を思いつく限り列挙した。あとは、これ覚えたら超人になれるよ。」

挫折したとしても、残念がることはない。あなたは変態でも超人でもなかっただけだし、変態レベルの教材は肌に合わなかったということだけである。

 

23.英語を英語で理解する 英英英単語 超上級編

今回紹介する単語集では、一番新しいのがこの本。ジャパンタイムズの最近の教材は、内容と見た目がとにかく優れている。この単語集は、割とタイトルの通りで、開いてみてもタイトルから予想される以上のものはないのだが、それで十分すごいのである。

単語のレベルは英検1級レベル以上といったところ。SVL 12000や『パス単英検1級』との重複語彙も多いが、それでも手に取る十分の価値がある。

 

24.フランス語・イタリア語・スペイン語が同時に学べる単語集

タイトルの通り、ラテン語由来のロマンス諸語の語彙が並列されて並んでいる単語集である。所々、語源となった古典語や関連する英単語も指摘してあって、語源好きにはたまらない一冊になっている。

ただ、これを使って、実際にこの3言語を同時に学ぶ人がどれだけいるかはわからない。3つのうちどれか一つが分かる人が、「他の言語ではこうか。ふ~ん」と思いながら読むぐらいがいいのかもしれない。

全ての単語に例文やコロケーションが3言語でついているので、見比べると結構面白い。配列はフランス語のアルファベット順になっているので、イタリア語・スペイン語学徒は、そこのところは黙って受け入れるしかない。

 

25.語源で覚える最頻出イディオム

イディオム系のなかで私が一番好きなのはこの本である。イディオムと言っても、連語や熟語というよりは、ことわざのような言い回しを集めている。

語源に関する解説が詳しいので、読み物としても十分楽しい。ここに出てくる表現を日常的に使いまくると、きっと「なんだこいつは」と思われるのだろう。(思われてみたいものだ。)

 

26.仏検3・4級 必須単語集

仏検対応の単語集。スタイルとしては、短文にいくつかの重要語をまとめて収録しているという点で、さながらフランス語版DUOといったところ。(ちなみに、同シリーズの中級版は「速単」スタイルである。)

単語の解説も結構詳しく、1冊覚えてしまうと初級フランス語はとりあえず身につけたといえるレベルだろう。

 

 

27.究極の英単語セレクション

タイトルはちょっと誤解を生みそうであるが、SVLを網羅した『究極の英単語』シリーズの4冊とは直接的な関連はない。というか全くもって独立した単語集である。

語彙の中には「難しいけど割とよく目にする」なんてものも案外多いものである。本書は、報道や雑誌で頻出するネイティブらしい単語にフォーカスした貴重な単語集である。ただ、学習用としてはレベルが高いので、英検1級で高得点を目指すぐらいしか一般的な試験には役立たないかもしれない。

 

28.ゼロからスタート フランス語単語

フランス語の入門向け単語集として、この本は欠かせない。

新しい言語を始めるに当たって、「フランス語の語彙とはこうなっていますよ」ということを解説してくれる単語集は本当にありがたい。

 

29.つむぐ英単語

語源系の単語集としては古いし知名度も低いが、私には思い入れがある本である。

そもそも、接頭辞・接尾辞や語源という考え方が英語の語彙に「ある」ということを知ったのがこの本であった。

 

30.英単語 語源ネットワーク

語源系の単語本として、私はこの本が結構好きだった。

ギリシア語・ラテン語を学んだ身としても、なかなかしっかり体系的に語源がまとまっていて面白い。

 

31.英語マニアなら知っておくべき500の英単語

これは表紙が非常に魅力的だが、中身はイラストなど一切無く文字だけである。原著はイギリス人の手によるもなので、ときおり独特の理解不能なユーモアが見られる。

英検1級に出てくるような単語とお友達になりたいなら暇なときに読んでみるといい。

 

32.新・独検合格 単語+熟語1800

ドイツ語の入門向け単語集は、これか『キクタン・ドイツ語』か『クラウンドイツ語単語』ぐらいしか選択肢がない。

いちばんシンプルな見た目で最重要語を網羅しているのは本書だろう。あと、後半の熟語がかなり使える。例文も基本的なので、これぐらいはすぐに書けるようになっておくといい。

 

 

 

作文・表現・会話

このジャンルでは、外国語のアウトプット練習に使える教材を紹介する。語学の大きな目的の一つは、自分が思ったり考えたりしたことをしゃべったり書いたりすることである。当然と言えば当然であるが、これが案外難しい。

母国語ですら的確な表現を見つけて表現するのは難しいのに、外国語ともなると、これは大変なことである。その分、言語の壁をよじ登って乗り越える喜びはひとしおである。

 

33.しくみが身につく ドイツ語中級作文

英語の作文教材は入試学参コーナーに盛大なる一画を占めているが、第2外国語となると、優れた和文○訳のテキストはほぼない。

その点、作文を通して中級文法や語彙語法を解説してくれる本書は、和文独訳で表現を積み上げていきたい私のような人間には大いにありがたいものである。

 

34.口を鍛えるドイツ語作文

まあ、この本は、あれだな。瞬間独作文教材ってやつだ。

分離動詞だろうが、複文と枠構造だろうが、あの泣きたくなる形容詞(類)の格変化も、短文を量産することでマスターすりゃいいんだよ。

これ、ドイツ語スピーキングには最良の教材だったんだけどな、もう絶版だってよ。まったく、まいっちまうぜ。アマゾンに中古が出てるけどよ、トンデモねえ値段がついてるな。

 

35.減点されない英作文

タイトルからしてなんとなく消極的な姿勢がうかがえるのは否定できない。日本の大学入試においては(少なくとも数年前までは)和文英訳が主流であったので、ちょっと不格好でも間違いとは言えない「安全な」英語を書くことを標榜するのは自然な流れである。

一方で、よくよく見てみると、英語表現の基礎を作る揺るぎない知識を身につけるにも実は大変重宝する情報も盛りだくさんである。受験が変わってもロングセラーとして書店に並んでいることからもその有用性はうかがえる。

 

36.日本語から考える ドイツ語の表現

このシリーズは主要外国語で展開している。

共通の日本語を諸外国語に訳すというコンセプトなので、各国語の性格を比較するのにも役立つ。また、母語である日本語についてもすこし踏み込んだ考察がなされるので、改めて言語について考える機会にある。

ドイツ語版はおなじみ清野先生が執筆しており、語り口がやっぱりおもしろい。

 

37.日本語から考える フランス語の表現

上記のシリーズのフランス語版である。ちょっと誤植やあきらかな間違いが多いのが玉に瑕であるが、シリーズのコンセプトがいいので見逃せない。

 

38.フランス語作文ラボ

なかなかなかった和文仏訳のテキストが、フランス人の先生の手によって出てきたのが本書である。そのため、和文の訳しかたをあれこれ考えるというよりは、「ネイティブはこう言う」ということを中心に扱っている。口語表現を多く扱い、話者の気持ちや態度についてネイティブ目線で解説してくれている。

私は小説を読むときにこのテキストを終えた後では、かなり登場人物の会話が生き生きしたものに見えてきた。どうでもいいが、やたら他人の恋愛についてあれこれ話してる文が多いような…。

 

39.「京大」英作文のすべて

まあ、和文英訳といえば京大。その京大英作文に特化したテキスト。

ただし、はっきり言って高校生には難しすぎる。京大受験生だとしてもこのレベルの英文が書ける人はほぼいないので、絶望しなさんな。こういうテキストをやっておくと、エッセイライティングでも表現の幅は確実に広がる。和文英訳への風あたりは強くなってきたが、本書には時がたっても色あせない魅力がある。

 

40.口が覚えるフランス語 スピーキング体得トレーニング

第2外国語の瞬間作文テキストとして真っ先に思いつくのは、三修社の「口が覚える」シリーズである。タイトルが重要。「頭が覚える」ではなく「口が覚える」である。

反射運動というものがあるが(熱いものに触れたとき脳に信号が行く前に手を引っ込めるというあれ)、言語もそうなろうというコンセプトが素晴らしい。フランス語版は活用や連語の解説が最低限ついている。

正直、1冊目として使うには結構難しいので、同系統の教材ならNHK出版の『表現力トレーニング』シリーズの方がハードルは下がる。

 

41.口が覚えるドイツ語 スピーキング体得トレーニング

上記のシリーズのドイツ語版。これは2018年に改訂版が出たが、改訂版とその前の版はほとんど別の教材といっていいぐらい別の文が使われている。

改訂前では有名な作家や政治家の格言めいた文章も多かったが、改訂後は日常会話で使われるような表現に一新されている。(前の版に批判があったであろうことは容易に想像がつく。)

とはいっても、私は結構改訂前の版も好きだったりする。興味がある方は、古本で探してみては。

 

42.どんどん話すための瞬間英作文トレーニング

瞬間英作文系の書籍は多く出回っているが、その火付け役となったのは本書。英検準1級を目指すならこのレベルは口頭作文できるようになっておきたい。

英語力をつけたいなら、10周以上本書を使い倒すことである。実はセンター試験レベルの英文法を身につけるにもこういったトレーニングはとても有用である。4択式の難しい文法問題集よりはよっぽど健全な英語力が身につく。

 

43.最短合格! 英検1級英作文問題完全制覇

英検1級の英作文教材は数が少ないので、ほとんどの受験者が本書を手に取るはずである。

2級以上で発売されているこのシリーズの特徴は、コンテンツブロックという「部品」を学んだ上で、それを組み合わせてエッセイという「全体」をつくっていこうとしている点にある。洋書の教材ではほとんど見ないようなスタイルを、300以上のコンテンツブロックを列挙することで徹底して実現している。

組み立てる前に個々のパーツにひたすら磨きをかけるという点が、なんとも日本人らしい発想だと私は思う。いずれにせよ、英検1級の英作文はTOEFL・IELTS・ケンブリッジ英検の英作文にも通用するような話題であるので、便利な教材である。

職人のようにまずはパーツを磨き、それを組み立てる技術を身につけるのである。

 

 

英語試験

語学の目的はなにも試験で高得点を取ることではないのだが、それにしても世の中には多くの語学試験がある。試験のために学ぶことが語学力向上につながるならそれは大いに結構なことであるし、一方、試験から学ぶことだって案外多いものである。受験するかどうかは別として、世にあふれる語学試験から気になったものを味わってみるのもまた語学の楽しみだと思う。

 

44.京大の英語 25カ年

言わずと知れた赤本シリーズの京大英語特化版である。近年はスタイルを変えつつある京大入試だが、数年前までは英文和訳と和文英訳だけしかないような問題だった。現代では時代遅れとされるような問題ではあるが、それでも時代遅れみたいなものから得られる発見は多いのである。

 

45.東大入試詳解25年英語

東大英語は問題のバラエティーとその取り合わせの妙である。こっちは青本の詳解シリーズを推したい。赤本が問題形式ごとに入試問題を配列しているのに対して、青本では年度別に配列している。東大英語を味わうにはこちらのほうがいい。年度ごとに問題形式が変わっているのも実感できる。

 

46.Cambridge English: Advanced Examination Paper

ケンブリッジ英検は日本の認知度は依然低いが、世界では日本の英検の100倍ぐらいは有名な英語資格である(数字は適当)。ケンブリッジ英検において、出題者は独特の問題形式であの手この手をからめながら英語力を試してくる。

その過去問はそれ自体、有用な英語問題集としても大いに役立つ。日本の英検やTOEFL/IELTSに飽きたら試してみてはどうだろうか。本書はCAE(C1)の過去問。

 

47.Cambridge English: Proficiency Examination Paper

ケンブリッジ英検の最高峰CPE(C2)の過去問集である。日本の英検で1級を取得したら次はこれにトライしたらいいのではないかと私は思っている。

私が知る限り、CPEのリスニングは、あらゆる英語試験のリスニングでいちばん難しい。C2だから当然と言ったら当然。まあ、映画やドラマを聞き取る方が難しいけど、それでもそれに一番近いレベルのリスニング試験にはなっている。

 

48.Cambridge English: Objective Proficiency

ケンブリッジの “Objektive” シリーズは、CEFRの各段階に合わせたケンブリッジ英検向けの英語テキストである。Proficiencyということは、その最高レベルCPE(C2)レベルの教科書であるということだ。(もちろんそれ以外のレベルでもラインナップされている。)各章は4技能をバランスよく鍛える優れた練習問題が満載である。Proficiencyともなると、マニアックな語彙やケンブリッジ英検のお家芸であるイディオムも豊富に登場する。

私はこの何章かをアメリカ人の同僚と一緒に解いていたのだが、彼女も知らないイディオムがたくさんでてきた。(挙げ句の果てに彼女は “It’s British!!” と言ってへそを曲げていた。どうでもいいが、「へそを曲げる」みたいな感じのイディオムはいかにもCPEっぽい。)

 

49.The Official Guide to the TOEFL TEST

はっきり言って、私はTOEFLが苦手である。理由は単純で、パソコンの画面で英文を読んでも全然内容が頭に入ってこないからである。私のような脳みそアナログ時代遅れゆとり世代には、コンピュータベースの試験はいささか苦しいのである。

とは言っても、TOEFLの問題自体は結構好きで、この公式問題集は辞書を凌駕するようなサイズ感で全問題を印刷してくれているので、私はこっちの方で練習に取り組んだ。(今回紹介する100冊のなかで、このサイズ感は本書と “Learn to Read Latin / Greek” だけである。)

TOEFL本番では、目をしょぼしょぼさせながら「2まん5せんえん…」と何度も心の中で念じて気合いを入れたのであるが、目のしょぼしょぼは収まるどころか全身にまで影響し始めて結果は散々であった。

 

50.Cambridge English: IELTS 14 Academic

こちらはIELTSの過去問である。私はどちらかというとTOEFLよりはIELTSの方が好きである。記述式の問題があったりして楽しいし、何より紙媒体であるのがいい。リスニングのディクテーションで全問正解できると、選択形式の問題で全問正解するよりよっぽど気分がいい。レベル的にもケンブリッジ英検FCEぐらいなのでIETLSは中上級者にちょうど良いのである。

 

 

リスニング

私たちの知覚の大部分を占めるのは視覚だそうだ。確かに外国語を学ぶとき、知らない単語に出会うのは「目から」ということが圧倒的多いのではないだろうか。しかし、上級者になればなるほど、語学における「耳の使い方」なんてものを知っている。リスニング教材で目指すべきは、目と対等なぐらいまで耳から世界を捉える力を手に入れることである。

 

51.耳が喜ぶドイツ語

「耳が喜ぶ」シリーズはテキストの内容といい、読まれるスピードといい、第2外国語で中級以上を目指す人には必須のテキストである。ドイツ語版は(ドイツらしく)かなりクリアな読みっぷりである。(女性の吹き込み。)最近改訂されたばかりである。

ゲーテB2のリスニングはこれよりは難しいが、それでもB1ぐらいは十分通用する。

 

52.耳が喜ぶフランス語

同シリーズのフランス語版である。フランス語は文字の見た目の割には実際に発音される音が少ない分、スピードが速く感じることが多い。この『耳が喜ぶフランス語』もドイツ語版やイタリア語版よりは各トラックの収録時間が10%ぐらい短くなっている。その分、スピードが速く感じられる。

 

53.知識と教養の英会話

会話集なんてものは一体何の役にたつのかよう分からんものも多いのであるが、これは別格である。英検1級の面接対策にも十分耐えうるほどの内容の会話集である。

ただ、私としたら、話者があまりに知識と教養がありすぎてちょっとついて行けない部分もある。こんな話し方の二人がもし目の前にいたら、私はい話題を振られる前にいそいそと退散するだろう。

 

54.究極のイギリス英語リスニング deluxe

アルクの「究極のリスニング」シリーズ、イギリス英語版である。英検準1級レベルといったところ。

このテキストは何よりイギリス英語の多様性に触れられるという点が優れている。私たちがひとくくりにしがちな「イギリス英語」は、まあこんなにも地域や話者によって異なる色彩を帯びるのである。使用されるブリティッシュなフレーズも心地良い。

 

 

リーディング

ある程度文法を頭に入れた後は、それなりに外国語を読んでいかないと、語学力はすぐに停滞する。良質な大量のインプットはそれ自体、語学力を動かすエンジンみたいなものである。一方で、スムースに多読へと橋渡しをしてくれるような良書はなかなかないものである。

 

55.名作短編で学ぶ イタリア語

イタリア語の文法を勉強した後は、なにか短い小説集でもいかが。この本は、中級レベルに必要な文法事項や語句のポイントを指摘しつつ、イタリアを代表する作家の文に直に触れることができるように設計されている。代名詞の用法や接続法の使われ方など、文章の中で初めて見えてくるものも多い。

 

56.Reading Greek

ケンブリッジ大学が出版している古典ギリシア語のシリーズである。テキストや語彙・問題集など複数冊からなるシリーズであるが、中身がなかなか面白い。読むのは古代のテキストそのものではないが、うまく原点のエッセンスを抽出した読みやすいものとなっている。

また、CDも別売りで販売されている。古典ギリシア語を収録した音声はほとんどないので、語学好きならこれは手に入れたい。独学で使うなら別冊の Independent Study Guide もあるといい。

私はこのCDのうちとある1トラックを目覚まし音に設定していた。毎朝ギリシア語のフレーズで起きていたわけである。今でもそのフレーズだけは覚えている。(目覚ましの音なのでもちろん当時はうっとうしく思っていた。)

 

57.ハリー・ポッター vol. 1が英語で読める本

ハリーポッターのような長い本の語句を解説してくれている書籍は本当にありがたい。十分長く付き合えるからである。私がハリーポッターシリーズを読んだときも、2巻まではこの「ハリー・ポッター vol. ○ が英語で読める本」の助けを借りて、知らない単語を参照しながら読んだ。2巻ぐらいまで読んでいると、それ以降はこの本の助けがなくても読んでいけたものである。

 

58.BIG FAT CAT and The Mustard Pie

一昔前はそれなりに有名だった「ビッグ・ファット・キャット」の多読シリーズである。全文で6巻まである。初級レベルの多読力をつけていくのに適している。ストーリー自体はたいしたことないと(当時の私は)思ったが、それでも十分楽しみながら英語を学べる。

私は高校1年のとき、インフルエンザで学校を休み、家でこれを読んでいたのを覚えている。

 

59.ドイツ語の小説を読む ベル「ある若き王様の思い出」

この本は私が使ってきたドイツ語教材の中でも、最も優れているものの一つである。20世紀ドイツを代表する作家ハインリヒ・ベル(日本ではあまり知られてないかな?)の短編を使って、ドイツ語の中級文法を親切丁寧に解説してくれている。

この本をとりわけ際だったものにしている点は、所々で関口の語学論(語学哲学?)みたいなものを紹介しているところである。語学の神様の片鱗に触れられるだけでも貴重と言うほか無い。

 

60.Xenophone’s Anabasis Book 1-4

古典ギリシア語で初級文法を終えて購読に入るとなると、アリストパネスやプラトンもいいが、クセノフォンが題材となることも多い。比較的素直なアッティカ方言(古典ギリシャ語ではまずこれを習う)で書かれている「アナバシス」はそのなかでも一押しである。この注釈書は入門向けとあり、語注も詳しく所々にイラストまでついていて楽しい。

 

61.Ovid’s Metamorphoses Book 6-10

オウィディウスの作品は韻文であるし、カエサルの作品のようには読み進めない。そして私はどうも神話を扱ったような作品が苦手であるので、このテキストをつかった『変身物語』の購読の授業は非常に苦痛であった。

このペーパーバックは本の背表紙がかなり堅く製本されており、使っている途中でぱっくり背中が割れてしまった。ただ、その割れたところがちょうどテキストと注釈の分かれ目のところだったので、結果的に非常に使いやすい分冊という形になったなんてほのぼのエピソードもあったもんだ。

 

62.自分で訳す『星の王子さま』

日本の書店の語学書コーナーにおいて、『星の王子さま』は大きな役割を果たしている。「英語で読む星の王子さま」や「フランス語で読む星の王子さま」なんてものはいつだってラインナップされている。それどころか「ドイツ語で読もう」「ロシア語で読もう」なんてものも出ているので『星の王子さま』の活躍っぷりにはまったく頭が下がる思いである。(ロシア語で読まんでもいいとは思うのだが。)

対訳で読むような本は多いのだが、本書は対訳はなしで、文法や語法の解説を詳しく収録している。持続可能な語学力をつけていくにはこちらの方が良いと思うのだが。

 

 

読み物

ここでは、「言語そのもの」について解説した書籍を紹介する。まあ、上記のどこかに分類してもいいけど、せっかくならどこにも分類されなかったものをまとめるのもいいのではと思っただけである。

 

63.ベーシック英語史

英語史関係で私が一番最初に手に取った本は、家入先生の本書だった。その名の通り、英語史の諸事情が、分野別に配列されている。ベーシックと言ってもそれなりに英語の知識がないと難しいかもしれない。

 

64.くらべてわかる英文法

英語学や言語学の書籍はハードルが高くて、私自身結構苦手なのだが、本書はそんなハードルもない。英語のふとした疑問や面白い現象について、専門家の気軽な語り口で解説してくれている。参考文献も充実しているので、さらに深い研究にも役立つ。

 

65.東大英語総講義

東大英語は入試の最高峰であるので、それに特化した参考書は学参の最高峰である、なんて単純な話ではない。ただ、東大入試にコミットした参考書群は書店に並ぶ英語本のなかでも良書が多いのは事実である。これこそ伝統の力なのかもしれない。

そのなかで最高の1冊はこの『東大英語総講義』である。受験生でも、そうでなくても、この本から英語について学ぶことは多い。英語を武器にしたいならぜひとも手元に置いておきたい本である。

 

66.know の k はなぜ発音しないのか

英語史の入門書としては私がベストと思っている1冊。ドイツ語がわかるとさらに読んでおもしろいだろう。中学校の教科書風で大きな文字で書かれているのであっという間に読んでしまうことができる。

 

67.ここがおかしい 日本人の英文法

ミントン先生の英文法シリーズは断然この1冊目が充実している。というか、あとの2冊はこの補遺に過ぎない。(ちがったらごめんなさい。)

中学高校で使う文法書では解説されていないか、曖昧に濁されている事項をネイティブ目線でスッキリと解説してくれている。正統派で規範的な表現以外は認めていない感はあるが、それでも学ぶことは多い。

 

68.英語で語る日本事情2020

タイトルに2020は一体なんのことだか全く触れられないが、日本文化についての英語本のなかではシンプルでとても使いやすい。こういう話題は、かなり英語ができる人でも練習しないと話せないものである。日本について話せるということがどれほど大きな意味を持つかは、語学上級者ならだれもが認めるところである。

 

69.ドイツ語とドイツ人気質

ドイツ語という言語を足がかりにして、最終的にはドイツ文化全般について考察する名著である。30年以上前に出版された本であるので、ところどころ古くなった記述もあるのだろうが、それでもドイツ語の魅力を鮮やかに捉えた冒頭は必読である。

 

70.イタリア語の起源 歴史文法入門

もしあなたがイタリア語とラテン語を学んだ(もしくはどちらかを学んでどちらかへすすみたい)なら、これである。ラテン語が現代イタリア語へと姿を変えていった課程をわかりやすく解説してくれている。専門書の風格をまとった本ではあるが、言語の学習経験がそれなりにあるなら読むのに大きな苦労はないだろう。

 

71.わかりやすい英語冠詞講義

英語の学習をしていくにあたって、どこかで「冠詞と向き合うとき」という場面があるのではないだろうか。冠詞についてじっくり考えるなんてまったくご免こうむりたいというのが本音であるが、実際にはこれを避けて通るわけにはいかない。そんな時に手に取るべきは本書である。

 

72.The English Language : A Guided Tour of the Language

英語史を中心に、現代英語に見られるさまざまな現象をわかりやすく考察した1冊。イラストや図表も豊富で読み飽きない。英語が好きで好きでたまらない人はきっと楽しめる。

 

73.謎解きの英文法 時の表現

私がこの英語学の人気シリーズから1冊選ぶなら、緑のカバーの「文の意味」か、この赤カバー「時の表現」となる。少々難しい記述もあるが、じっくり時制に向き合うなら一番おすすめの1冊である。先述のミントン文法と併せて読むとさらに理解が深まるだろう。

 

 

辞書

私が今まで使ってきた辞書は20冊を超えるが、実際に毎日のように使うものは1,2冊である。当然それも時期によって移り変わる。辞書は語学書の王様であり、辞書を超える語彙力を持つ人はそういないので、おとなしくひれ伏して謙虚に付き合っていくのがよいのでしょう。

 

74.クラウン独和辞典

独和辞典の定番は、「クラウン」か「アクセス」となっているが、学習用には私はこの「クラウン」を愛用してきた。情報量がちょうどいいし、初級~中級に必要な事項をしっかり網羅してくれている。プチ和独も案外役に立つ。

 

75.クラウン仏和辞典

仏和辞典もやっぱりクラウンがいい。ロワイヤルも持ってはいるが、学習用にはこっちが使いやすいんだな~。まあ、人によるでしょう。

クラウンが唯一ロワイヤルに劣っていた表紙のデザインも、現行の第7版から一気に格好良くなった。

 

76.ジーニアス英和辞典

英和辞典はジーニアス。これは別にこだわりがあるわけではないが、昔から私はそうだった。他の辞書を使った経験もあまりないのでどこがいいのかは正直分からない。

ただ、ジーニアスを使っていて不満を感じたことは一度も無いので、やっぱり定番の優れた辞書であることは間違いないだろう。(私が愛するKWANNのスポンサーであったことも無関係ではない。)

 

77.ロングマン現代英英辞典

ロングマンの辞書はかれこれ4冊ほど使ってきたが、定番のContemporary Dictionaryは机上に置いておきたい。簡潔でストンと腑に落ちるような解説は読んで非常に「心地よい」。

 

78.Greek English Lexicon

古典ギリシア語辞書の定番はなんと言ってもこの通称Liddle Scottだろう。ギリシア語学徒でこれを持たない人はほとんどいないぐらいのものである。大中小の3サイズで展開しているが、持ち運びには中サイズのIntermediateがちょうどいい。

閉じた側面は全くの白紙である。通常の辞書のように、アルファベットがどこからどこまでか分からないようになっている。私はαならその項をすべてつまんで印をつけた上で、横に「A」を書き込んで引きやすくしていた。

この辞書は結構古いので、版権が切れているのだろうか、いろんなアプリで格安版が出回っている。

 

79.Schule und Studium DEUTSCH-LATEIN

ギリシア語の辞書は上記の定番があるのだが、ラテン語の辞書は結構学習者によって好みが分かれる。案外定番というものがない。私も羅和、羅英などさまざま使ってみたが、どれもしっくりはこなかった。

そんな中、ラテン語学習を3年続けてついに出会ったベストの1冊がこれ。非常に見やすく用例やコラムもわかりやすい。ラテン語辞書にありがちな苔むしたような風情はなく、普通の手堅い現代語の辞書といった感じである。

PONSは非常に優れた語学書を出版する会社なので、ヨーロッパ系で多言語をやるなら是非知っておきたい。こういったときにドイツ語が分かるというメリットは非常に大きい。

 

80.LONGMAN WORD WISE 英英辞典

私が初めて買った英英辞典はこれであった。英英辞典への憧れから中学生の分際でこの辞書を手に取って暇さえあれば読んでいた。まあ、ロングマンの英英辞典に関しては大は小を兼ねるし、小は大に及ばないので、大きなもの(先述の『ロングマン現代英英辞典』)を最初に手にしてもいいのかなと思っている。辞書を引いたけどその単語が載っていないというストレスは結構大きいものである。

 

81.ALL THE GREEK VERBS

ギリシア語学徒の中には知らない人はいない(?)チート本である。動詞の変化の複雑なギリシア語動詞を、活用した形から元の動詞の何の形であるかを検索できる。

活用を覚えるのに苦しむ学生には天からの贈り物のような存在だが、これを使っているといつまでたっても活用を覚えない。さあ、あなたは欲しい?(私は持ってる。)

 

 

洋書・メディア

外国語で書かれた本や外国英語のDVDも語学には欠かせない。語学は楽しんで身につけるものという基本姿勢は、こういった作品への愛によってかろうじて保たれるのかもしれない。いろんな言語に手を出して、名声を得たい気持ちや試験でスコアを上げたい欲に駆られると、いつのまにかこの姿勢を失ってしまうことは陥りがちな失敗である。

そんなときは、ちょっと手をとめて “Winnie the Pooh” を読めばいい。 “All you need is Pooh” である。なんということはない。単純な話である。

 

82.STAR WARS THE CLONE WARS The Complete Seasons 1-5

スターウォーズの映画本編を補う形で製作されたCGアニメのシリーズ。通称「クローンウォーズ」。25分ほどのエピソードが全部で100以上収められている。ブルーレイで音声・字幕の切り替えも自在なので、語学には大いに役にたった。私はこのシリーズを英語・ドイツ語・フランス語の3言語でほとんどのエピソードを見てリスニング力と読解力を鍛えた。見てるだけで良いので洋書を読むより楽ではある。

 

83.Charlie and the Great Glass Elevator

ロアルトダールの本は高校生の頃読んだ。私が初めて読んだ「本物の洋書」でもあった。そのなかでも初めて読んだのはこれ。ティム・バートンの映画「チャーリーとチョコレート工場」がヒットしてから数年後のことだった。

 

84.Winnie the Pooh

子どもの頃に読んだ本は今は面白いと思えないものも多い。私の心がゆがんでしまったのか、汚れてしまったのか分からないが、どうも読んでしっくりこない本は随分多い。そんな中、今でもかつてと同じように私が好きな本は、この「くまのプーさん」である。好きなキャラクターはイーヨーである。これも変わらない。

このEgmont社のセットは、手にとった感触といい、字の見やすさいい、心地よいプーの世界に浸るにうってつけである。

 

85.The Catcher in the Rye

サリンジャーでまず読んでおくべきは何かと考えると、やっぱり「ライ麦畑」かなという結論にいつだってたどり着く。

私はこの本を何度か読んでいるが、読むたびに発見がある。ストーリーや少年の思想に目が行きがちだが、同じく注目すべきは、サリンジャーという作家の英語という言語を自在に操る技術である。私にとって、「ライ麦畑」の読書体験はこの英語を味わうことでもあるわけである。

 

86.My Father’s Tears and Other Stories

ジョン・アップダイクという作家に出会っていなかったら、私の英語観(みたいなもの)や文学観(そんなものがあるとして)は全く違ったものになっていただろう。アップダイク晩年の本短編集は、私が初めて読んだアップダイク作品である。

アップダイクは日本での知名度はあまり高くないし、手に入る翻訳も少ない。アメリカ本国では、読んだことがあるかは別として、知らない人はほとんどいないほどの大作家であるが、日本ではそうでもない。

思うに、取るに足らないものに独特の繊細な光を与えるようなアップダイクの文章の輝きは、英語という言語内でこそ真価を発揮するのだろう。だから、その文章の妙は翻訳した途端失われてしまうのである。火をともしたろうそくを大切に手に持って歩いていても、いつの間にかふとした拍子に火が消えてしまうように。

まったく、翻訳で読むアップダイクの文章の、なんと味気ないことか。あの文章を味わうにはやっぱり英語で読むしかない。

私にとって、アップダイク体験は、英語のもつ自由で圧倒的な表現力の前に無力に立ちすくむことでもある。私の知り合いのアメリカ人は「アップダイクは最高につまらない」と表していた。そんな人は確かに多い。そしてその批判はなんら的外れではないのも事実である。「最高につまらないもの」に天使の声で歌い上げるのが、結局アップダイクの「しごと」だからである。文章をとるか、わくわくするようなストーリーをとるかが、アップダイクを好きになるかの分かれ目である。

 

87.Someday Angeline

この本は、内容もさることながら、一見意味不明の表紙が私のアンテナに見事にヒットした。現行版ではあの魚のイラストの表紙は変わってしまったようだ。なんとも残念なことである。

ルイス・サッカーの本は英語の多読用としてもよく紹介されるので、日本の英語学習者でも知っている人は多いだろう。HOLESなんかが有名だが、私にとってのベストはいつだってこのアンジェリーンちゃんの話である。

 

88.The Old Man and the Sea

ヘミングウェイは、フィツジェラルドやカポーティのような作家に比べると私の好みではないのであるが、『老人と海』の冒頭はアメリカ文学の作品の中でも私のお気に入りである。

Eternal defeat というフレーズを私は初読の時から忘れない。

 

89.Damals war es Friedlich

この本は児童書としては救いようのないぐらい暗くて悲しい話であるが、しかしこういう作品がいかにもドイツ文学っぽいのもまた事実である。私が初めてドイツ語で読んだ洋書である。当時は知らない単語をすべて覚えながら何度も読んだものだ。

翻訳が岩波少年文庫から出ていて、タイトルは『あの頃はフリードリッヒがいた』となっている。原題との意味の違いが分かるだろうか。

 

90.MOMO

こちらはドイツの児童書としても圧倒的に有名な作品である。どちらかというと私はエンデの作品が苦手なのだが、なにせエンデのドイツ語は学習者にとってはとてもありがたい平易なスタイルで書かれる。多読にはもってこいであるというのは事実である。

 

91.Eine Kurze Weltgeschichte für Junge Leser

『若い読者のための世界史』というタイトルでもう50年以上前に出版された名著である。おじいちゃんが子どもに話して聞かせるような語り口で、世界史の出来事が紡がれていく。ドイツ語で「歴史」はGeschichteというが、本来「層が積み重なったもの」というニュアンスである。一方でHistoryはギリシア語で「探求」という言葉に由来する。私はドイツ語ならではのゲシヒテという言葉が、その響きもニュアンスも含めてなんだか気に入っている。

活版印刷風のイラストもたまらなくいい。

 

92.Le petit prince

言わずと知れた『星の王子さま』の原書である。「星の」なんていうのは日本語版のオリジナルタイトルであって、本来のタイトルには見ての通りそんな意味はない。

サン・テグジュペリという作家が書くフランス語はとにかく美しく、自由で豊かな広がりを感じさせる。この『星の王子さま』は、文章の達人が子どもの目線まで降りてきて語ってくれているかのような印象を私は受ける。なんとなく読み飛ばしがちな一つ一つの単語が全体で見事なバランスを保っていることに気づいたとき、一段階上のフランス語力が身についているだろう。

 

93.L’étranger

アルベール・カミュという名前を聞いたことがある人はたくさんいるが、読んだことがあるというひとは案外少ない。カフカの『変身』だとか、カミュのこの『異邦人』だとか、けっして読んでハッピーになれる本ではないが、一度読むとあっという間にその作品のもつ力にとりつかれてしまうものだ。

フランス語は一文が短く、単純過去が出てこないという点では読みやすいが、作品理解のための読解となるとそんな単純な話ではない。

 

94.Bonjour Tristesse

私が読んだことのあるフランス文学で、もっとも印象的な冒頭は、サガンの『悲しみよこんにちは』の出だしである。何度も何度も読んで、ぜひ原文のリズムを味わって、語り手の悲しさに寄り添いたい。

 

95.Mondo et autre histoires

南仏。輝く太陽と海。神話時代から脈々と続く物語の種をひとつひとつ育て、やがて実った小さな果実をクレジオは軽やかに、それでいて真摯に料理する。

現実世界を魔法の透明なガラスに映し出したかのような独特の浮遊感をもったエピソードが私たちに語りかける――。

忘れれられた声を思い出せ。世界の本当の声を。

 

97.Aesop’s Fables

わざわざイソップ物語を英語で読まなくてもいいようなものだが、かつての私はとりつかれたかのようにこれを読みあさった。動物たちの会話が理解できたうれしさも、理解できない苦しさも、この超短編集に結晶している。

 

98.Zum Verteidigung der Waschküchen

20世紀ドイツを代表するハインリヒ・ベルのエッセイ・評論集から、最初期の1冊である。ベルの小説はまだしも、こういったエッセイを読んだことがあるという人はほとんどいないだろう。

このなかに Bekenntnis der Trümmerliteraturという一節があるのだが、これは名文である。作家は「見た」のである。何を? それを知るには彼の作品を読むしかない。

 

99.STAR WARS

スターウォーズで世代を測るとしたら、私は「エピソード3」公開時に中学1年生であった。スターウォーズの最終話ということで、この映画は公開時から大いに話題になっていた。(10年以上たってからフォースが再覚醒するなんてそのときは誰も知らない。)

学校での私たちの話題ももっぱらスターウォーズであった。そんな思い入れの作品も、高校以降は英語字幕で見るようになっていた。全編通すと結構な長さになるので、学習にはちょうどいい。

 

100.Harry Potter and the Philosopher’s Stone

「ハリーポッター」は私が小学校に入学する前に1巻が日本で出版され、高校1年のときに完結した。私なんかはいわば、少年ハリーが物語のなかで年齢を重ねていくのと自分の年齢がオーバーラップしていった「ハリポタ世代」である(今後、この呼び方が「ゆとり世代」より一般的になることを私は期待している)。

今の子どもたちはもちろん、物心ついたときから「ハリーポッター」シリーズは7巻まで全てがそろっている。新作が発売されるのを首を伸ばして待つもどかしさは知らないわけである。世代が変わるということは要するにそういうことであろう。だれかが「待っていた」ものは、別の誰かにとって「最初からあった」ものである。私にとって、それを感じるのはこのハリーポッターシリーズであった。

原書は全巻を5ヶ月ぐらいかけて読んだように思う。今振り返っても、一番自分の英語力が伸びたのはこの時期だった。

 

おわりに

大変長くなりましたが、以上、現時点での「やるせな語学の100冊」ということにしようと思います。

後から振り返ると一瞬ですが、1冊1冊と付き合っている時間は、きっとどれをとっても、かけがえのないものとして続いていたのだと思います。

もちろん、泣く泣くこのリストから外れてしまった本もたくさんあります。そういった本たちも、ここの100冊と同じように私とこのサイトを作ってくれているのには変わりません。

まだまだこれからどのような語学書と出会うかは分かりませんが、きっと面白い出会いがあることでしょう。積み重なった山から見える景色も、途中の坂道も、取るに足らないような道ばたの石ころも、語学においてはどれもかけがえのない言葉の力を宿しています。それらを拾い集めながら、これからもことばを学んでいきたいものです。

新しいことばを知ると、世界はちょっとだけおもしろくなるはずだから。

 

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