ロシア語

【ロシア語ってどんな言語?】発音・文法・語彙の特徴から「難しい神話」に迫る

雪に閉ざされたシベリア、タマネギ型の尖塔に重厚な建築群、黄金に彩られた宮殿、魔術的魅力を放ちながら世界を見つめるマトリョーシュカ――

ロシアとその言語に魅せられたらその蠱惑的な世界から逃れることはなかなかできません。

フランス語やドイツ語ほどは学習者も多くないため、なにやら得体の知れない難しそうな言語と思っている方も多いことでしょう。文字も違うし、耳にした感じもなんかゴツゴツとしてちょっと近づきがたい……

しかし、実際にはロシア語は重厚でありながら優雅な響きを持ったとても美しい言語です。文法も難しいところはありますが、ヨーロッパの他の言語とくらべても特別難しいというわけではありません。単語を覚えるのも英語を学んだ経験があれば、きっと筋道は見えてきます。

今回は、そんなロシア語について、発音・文法・語彙の特徴についてざっくりと紹介したいと思います。

世界一の国土をもつロシアと、その周辺に広がる中央アジアや東ヨーロッパなど、ロシア語が話されている場所を旅してみるとその広さに本当に驚かされます。みなさんもこの記事を読んで少しでもそんなロシア語の世界をのぞいてみませんか?

語学の春の訪れと共に「難しい神話」が崩れるとき、あなたの前にはきっとなにやらオモシロい世界が広がっているはずです。

ロシア語の発音

氷に閉ざされた大地に刻み込むような鋭い子音と、荘厳に美しく響き渡る母音。それがロシア語という旋律を構成する一つ一つの音符たちです。まずは発音についてどのような特徴があるのか、どこが学習者にとってどこが難しいと言えるのか考えてみましょう。

そのまえに文字

このサイトでは言語の紹介をするときに、「発音・文法・語彙」という観点からまずその言語を考えることにしているのですが、ロシア語の場合はやっぱり「文字」という項目が必要でしょう。

ご存じだとは思いますが、ロシア語は「キリル文字」という、私たちになじみ深いラテン文字、いわゆるローマ・アルファベット(以下、単に「アルファベット」)とは違った独特の文字を使います。

キリル文字はアルファベットとは違いますが、(主に顔文字で)ほとんどの文字は見たことがあるという人がほとんどでしょう。そのため、キリル文字を覚える作業自体はわりとあっという間に終わります。たぶんですけど、私たちがアラビア文字を覚えたり、欧米の人が漢字を覚えたりするのよりはるかに楽なはずです。

そもそも、キリル文字(абдж)も、アルファベット(abc)もギリシャ文字からできました。ギリシャ文字というのは、 αβγωなど、数学や物理でも見たことがある(はず)の文字たちです。

そのため、文字自体は違いますが、見た目も近かったり同じであったりするものも多いです。

たとえば、キリル文字の一文字目はA, aで、発音も「ア」です。2文字目はБ,бで、発音は、アルファベットのbと同じ(ブ)です。

中には、キリル文字独自の文字もあります。例えば、顔文字でよく見るДдはアルファベットのD,dの音で読みます。шчжは、それぞれ「シュ、チ、ジュ」という感じで読みます。アルファベットの特定の文字の組み合わせで起こるような発音を一つのキリル文字が担っているわけです。

そのため、キリル文字は33文字と、アルファベットの26文字よりも文字の数が多くなっています。まあ、外国語好きならあっという間に何の抵抗もなく受け入れることができるぐらいの数です。

(こんなことを言ってもなんの救いにもならないかもしれませんが、日本語の文字なんて、ひらがなだけで50文字以上ですよ…)

キリル文字は「1文字」=「1音」という風に原則として文字と音は対応しているので、文字の読み方さえ覚えればなんとなくの発音はすぐできます。

(これはロシア語圏を旅するときにかなり役立ちますよ~。)

ちなみにキリル文字を使う言語は何もロシア語だけではありません。カザフ語、ウクライナ語、ブルガリア語などもこれらの文字で書かれます。

 

発音のここが難しい

  • 日本語や英語にない音も多い
  • そもそも音を発するのが難しい
  • 恐るべきアクセント

「ロシア語の発音は難しい」という話をよく聞きます。たしかに、私もロシア語の発音は難しいと思います。

この、「難しい」はどのレベルを目指すかにもよりますが、それなりにカタカナ発音を脱却して、西欧の他の言語の発音とも区別してロシア語を発音しようとしたらずいぶん難しいのは確かです。

 

音そもそもの難しさ

ロシア語の母音には軟母音硬母音がそれぞれ5つずつあって、それよってその前の子音も軟音と硬音に変化したりします。この違いが微妙で正直どの参考書も曖昧に濁してあるのでよく分かりにくいもんです。

その上、ロシア語独特の子音は、微妙に日本語とも他の西欧語とも音が違ったりします。たとえば、ш, жなんてのは、カタカナで書くとそれぞれ「シュ、ジュ」となるのですが日本語とも英語の sh, j, などとも違っています。よく聴いたら違うと言うことは分かるのですが、それを実際に発音しようとしてもいったいどこがどうなって音が出ているのやら……なんてことにもなると思います。

幸い、いまはロシア語の発音に特化した優れた本が出ています。ただ、このレベルまでつきつめると結構大変であるというのは事実です。

私は英語やドイツ語で書かれたロシア語の教材にも一通り当たってみましたが、英語でもドイツ語の本でも発音については英語風ドイツ語風に読んどけば良いじゃんぐらいの解説しかされていませんでした。шはsh(ドイツ語ではsch)と「同じ」とだいたい記されています。(実際に音を聞いたらロシア語の「堅い音」は確かに英語とは違うのですがね…。)

 

ロシア語のアクセント

ロシア語のアクセントの発音方法自体は、その音を強く長めに発音するというありきたりのものです。

ただ、ロシア語のアクセントを面倒くさくしている最大の要素が、その位置が「動く」ということです。それはもう動きますよ~。じっとしてはいれません。

ロシア語の名詞形容詞・動詞は(ご想像の通りと思いますが)、形がいろいろと変化します。それはもう、むちゃくちゃに変わります。面倒くさいのは、単語の形によって、アクセントの位置も変わるものも多いということです。辞書に載ってる形のアクセントを覚えてもそれでおしまいではないのです。

さらに、ロシア語の母音はアクセントの有無で発音が変わったりもするので、アクセント位置を間違うと、かなり違う音になってしまって理解に支障が生じてしまいます。

たとえば、панять(理解する)という意味の次の単語を見てみてください。「」でなんとなくの発音を示しています。

不定形
понять「パニャーチ」

過去形(男性)
понял「ポーニャル」

不定形(辞書に載っている形)のアクセントは後ろにあるのに対し、過去形(男性)では前にアクセントが移動しています。その結果、発音は「パニャーチ」から「ポーニャル」と変わってしまいます。最初の「パ」がアクセントのある「ポー」に変わるわけですから耳で聞くと全く違う単語に聞こえるぐらいです。

(実際、私は初めて足を踏み入れたロシア語圏(カザフスタンのアルマトイ)で初日に道を聞いたとき、相手から「ポーニャル?」と聞かれて、понятьという単語を知っていたにもかかわらず最初は理解できませでした。アクセント移動の面倒さを実感したエピソードです。)

もちろん、アクセントには一定の規則や法則めいたものはあるのですが、ロシア語のアクセントはレベルが上がっていったとしてもずっと煩わしい問題として学習者を悩ませ続けるというのが実際のところです。

 

発音のここが簡単

いきなり難しいところを挙げてしまって、ひるんでしまったという方もいるかもしれません。でもご安心ください。ロシア語の発音は見方によると簡単である部分も多いです。

スペルと発音は一致

それだけ?と思われるかもしれませんが、これはとてつもなく大きなことです。文字さえ見ればロシア語の単語は発音できます。

先にも少し述べましたが、「このキリル文字はこう読む」というのが明確に決まっているからです。原則としては、ロシア語のキリル文字は「一文字」=「一音」で対応しています。日本語のひらがな・カタカナと同じです。(「た」の文字はどこでも「ta」としか読まないようなものです。)

ただ、先述の通り、アクセントの有無で音が変わる母音があったり、子音の軟音硬音で音色が変わるのは事実ですので、かならずしも原則通りでない部分もあります。

ただ、それでもロシア語はスペルと発音がかなり忠実に結びついている言語といってもいいでしょう。この点では、ロシア語の発音はかなり英語より学習しやすいといえます。

もちろん例外的な発音をする語もありますが、英語やフランス語などと比べてもそういった例外的発音をする単語の割合は少ないです。

 

まあ、でも結論から言うと、ロシア語の発音はやっぱり難しいですね。私はいままで英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ギリシャ語、ラテン語と学習した経験がありますが、発音についてはロシア語が一番難しかったです。難しい上に、書店にも情報が少ない。中には「日本人が独学でロシア語の発音を身につけるのは不可能」なんて断定しているような本やサイトもあります。そのぐらい難しいということですね。

ただ、繰り返しになりますが、なんとなく読めるようになるだけならかなり簡単です。ロシア語圏を旅するときには基本的なキリル文字の読み方を知っておくだけで、かなり快適な旅をすることができるでしょう。

キリル文字を知らないと地名だろうが案内表示だろうがただの暗号ですが、ちょっとしっているだけで町中では随分有益な情報を得ることができます。

 

 

ロシア語の文法

何度か触れましたが、ロシア語は非常に「語変化が多い」言語です。西欧の主要言語では失われてしまった名詞の格変化も非常にしっかりと保っています。

初級段階でのロシア語学習は、この「単語の変化」を学んでいくことといってもいいぐらいです。

(代)名詞・形容詞の格変化が厄介であるのにたいし、動詞の活用はほとんどが現在時制の活用を覚えてしまえばことたります。過去形は主語の人称ではなく、主語の性と数に一致するという英語やフランス語にはないような特徴もあります。

  • 名詞形容詞は6つの格をもつ
  • 動詞の変化は少ない
  • 数詞が地獄

外国語学習の長い道のりでで挫折しないポイントは、「ここは難しいところだな」という情報をある程度最初のうちから持った上で初級文法を学んでいくことだと私は考えています。そうすれば、難しいところはじっくりと時間をかけて理解していく覚悟を前もって持つことができます。

名詞の性数と格変化

ロシア語の名詞には男性・女性・中性の3つの性があります。

そして、一部の外来語を除いて、ロシア語の名詞は人名や地名などの固有名詞を含めてすべて格変化します。さらにその名詞と結びつく代名詞や形容詞も格変化します。

格は全部で6つあり、それぞれ単数と複数で違う形をもっています。

つまり、ロシア語の名詞は、6格×2の12の形を持っていることになります。

男性名詞と女性名詞は「活動体」(人や動物など生命をもった存在)のときと「不活動体」で格の一部が異なります。

以下が例です。

дом家)「ドーム」という単語は次のように変化します。

単数 
主格  дом「家は」
生格  дома「家の」
与格  дому「家に」
対格  дом「家を」
造格  домом「家(と)」
前置格 доме「家(で)」

複数
主格  дома「家々は」
生格  домов
「家々の」
与格  домам
「家々に」
対格  дома
「家々を」
造格  домами
「家々(と)」
前置格 домах
「家々(に)」

この単語に形容詞や代名詞がつくと、それらも併せて変化します。

「私の古い家」の変化は以下です。
мой(私の)、 старый(古い)

単数
主格  мой старый дом
   「私の古い家は」

生格  моего старого дома
   「私の古い家の」

与格  моему старому дому
   「私の古い家に」

対格  мой старый дом
   「私の古い家を」

造格  моим старым домом
   「私の古い家(と)」

前置格 моём старом доме
   「私の古い家(で)」


複数

主格  мои старые дома
   「私の古い家々は」

生格  моих старых домов
   「私の古い家々の」

与格  моим старым домам
   「私の古い家々に」

対格  мои старые дома
   「私の古い家々を」

造格  моими старыми домами
   「私の古い家々(と)」

前置格 моих старых домах
   「私の古い家々(に)」

変化の仕方は性や活動体か不活動体かによって原則があって、さらに細かい例外が多くあるという感じです。アクセント位置や語幹(変化しない部分)の文字によっても微妙に違ったりもします。

まずこの変化を覚えるというのがロシア語学習の鉄則です。ほとんどの文法書では一つの格を一つの課で紹介するように設定されているので、抵抗なく受け入れる工夫がなされていますが、実際に覚えるには、とにかく口に出したり書いてみたりを繰り返すしかありません。

そして、ネイティブスピーカーはこれらを一瞬のうちに変化にして文を次から次につくっていくわけです。初学者からしたら気の遠くなるようなレベルの差を感じます。

実際にはよく使う格、みたいなものはある程度決まっているので、会話ではそれらをまずはそれらを使うことを意識することになると思います。

私も《単数主格→単数生格・対格・前置格・複数主格・対格》の変換はある程度すぐにできることが多いのですが、他の格はちょっと考えないとまだまだ出てこないという感じですね。流暢に話せるまでの道は遠い。

 

動詞は形より用法

ロシア語動詞の変化は、フランス語やイタリア語といったラテン語由来の言語よりはずいぶん覚えやすいです。

動詞の変化としては、まずは現在時制の人称変化を覚えることになります。

たとえば、規則動詞читать(読む)の現在人称変化は以下です。

читаю   私は読む
читаешь 君は読む
читает  彼は読む
читаем  
私たちは読む
читаете   
あなたたちは読む
читают  
彼らは読む

過去形は、人称ではなく性と数で変化します。

читал
私(男)・君(男)・彼は読んだ

читала 
私(女)・君(女)・彼女は読んだ

читали 
私たち・君たち・彼らは読んだ

動詞の変化自体はこれぐらいです。未来を表すときは、別の単語を活用させそれに不定形を添えるだけですので、こちらもそれほど覚えるのは難しくありません。

これらの動詞の活用にはもちろん例外的に変化するものもあるので、それらは個別に覚える必要がありますが、音とスペルの関係上の例外的な変化になったものが多いので、例外にもそれなりの傾向はあります。

動詞の厄介なところは、ロシア語の動詞には2つの「体」というものがあるということです。これが「完了体」「不完了体」の違いです。

過去形を例に考えてみましょう。

ロシア語では「~していた」と継続性のある動作と、「~してしまった」という終わってしまった動作を表すときには、別の動詞を使います。

例えば、先ほどのчитать(読む・不完了体)には、причитать(読む・完了体)というペアの動詞があります。この2つの動詞の違いは以下のようになります。

不完了体
Я читал эту книгу.
私はこの本を読んでいた。(読んでしまったかどうかは言っていない。)
※эту книгу(その本を)

完了体
Я прочитал эту книгу.

私はこの本を読んでしまった。

このように、動作を表すとき、それが完了しているのかしていないのかによって2つの「体」を使い分けるのがロシア語の特徴です。

完了体も不完了体も現在人称変化の仕方は同じですが、完了体の場合は現在の人称変化でこれから先にやってしまうことを表します。

不完了体と完了体の動詞のペアは、不完了体の一部の文字を変えたり接頭語を加えたりしして完了体ができるものもあれば、まったく違う形のペアもあります。さらに、動詞によってはどちらかの体しかもたないものもあります。

英語やフランス語では一つの動詞の時制の変化によって表す「体」を、ロシア語では2つ動詞を使い分けて表すわけです。なかなか理解に苦しむという部分も少なくありません。

ロシア語の動詞は形を覚えた後に本当の学習が始まると言ってもいいかもしれません。

 

数詞が地獄

ロシア語のなかでも一際扱いが面倒なのは数詞ではないでしょうか。

ロシア語の数字は英語とも全然違ったシステムで数え上げるので、そもそも数字を覚えるのがちょっと時間がかかります。(ここまでは他の言語でもそうでしょう。)

ロシア語の常として、数字も格変化しなければなりません。(1の場合は性数変化もあります。)

さらにさらに、とんでもないことに、「数字+名詞」でものの数を表すとき、数字によって後ろの名詞の形が違います。

具体的には次のようになります。

1 + 単数主格
(なるほど)

2 + 単数生格
(ん? 2なのに単数?そして格は生格?)

3 + 単数生格
(3でも一緒か)

4 + 単数生格
(こういう感じでいくのね)

5 + 複数生格
(は?)

1のときは単数主格と結びつくのはなんとも納得できますね。一つの○○だから、単数です。

2~4のときは単数生格になります。

そして5以上では複数生格で受けます。

つまり、数字が1のときと、2~4のとき、5以上のときで後ろの名詞の形は異なるわけです。

このへんがロシア語数詞の面倒なところですね。さらにさらにつきつめると文語では活動体か不活動体かによったり性によったりで細かい決まりがあります。これはまあ面倒だと思います。

数詞はそもそも基本形を覚えるのが面倒な上に、用法がとても面倒くさいです。そして、当然ですが、数詞は日常において最もよく使う言葉の一つです。ロシア語を学び始めたら身の回りのあらゆるものをもうロシア語で数え上げるぐらいの練習が必要です。

ちなみにスマホアプリに「ロシア語数詞」という語学アプリ史上最高レベルの(と私が思っている)素晴らしいものがあります。ロシア語数詞とお友達になりたい方は、暇なときに遊んでみてください。

 

ロシア語の語彙と他言語との距離感

ロシア語の語彙学習は、最初は大変に感じますが、コツさえつかめばそれほどでもありません。

語彙学習のここが難しい

英語からの類推ができない

ロシア語には英語から意味が類推できるような単語がほとんどありません。

そもそもヨーロッパの言語はすごく大雑把に分けて、以下の三つに分けられます。(どれにも入っていない人たち、本当にごめんなさい。)

ゲルマン語派
…英語、ドイツ語、オランダ語など

ロマンス語派
…フランス語、イタリア語、スペイン語など

バルト・スラブ語派
ロシア語、ウクライナ語、ポーランド語など

言うまでもないことですが、それぞれの語派の内部では、各言語はそれなりに似た文法構造や語彙をもっています。上の例では、スペイン語とイタリア語、ロシア語とウクライナ語なんていうのは見た目上はずいぶん共通点が多いです。

日本人が学習する「ヨーロッパの言語」はゲルマン語かロマンス語であるというのがほとんどではないでしょうか。書店にあるヨーロッパ言語の教材の大半がゲルマン語かロマンス語を扱っているような印象を受けます。

そして、ロシア語はゲルマン語やロマンス語とはずいぶん系統の異なる言語です。そのため他の言語でこの単語を知っているから単語が覚えやすくなるということは、あまりまりません。

もちろん、ヨーロッパの共通語であったラテン語から入ってきたロシア語の単語もあります。文化的に強い影響を受けたフランス語由来の単語もありますし、現代では英語由来の単語も増えてきています。

しかしそれらはやはり全体としてみたら少数派であるので、ロシア語の語彙学習は中学生のときに英単語を覚えたときのように、1からひとつひとつ覚えていかないといけません

 

変化・アクセント

ロシア語は何かと変化の多い言語です。語彙学習の際は、見出し語の意味に加えて変化の仕方も覚えておく必要があります。

原則からはずれた変化をする単語は意味と同時に変化も覚えておかないと、文中で見たり聞いたりしても単語は覚えたけど意味が分からないなんてことにもなりかねません。

これは語変化だけでなく、アクセントの移動にも言えることです。

 

語彙学習のここが簡単

接頭語・接尾語・語幹を覚えよう

最初は難しく感じるロシア語の語彙学習ですが、慣れてくると英語と同様、多くの単語は言語内で綿密なネットワークを構成していることが見えてきます。

単語の派生の仕方や、接頭語・接尾辞で意味を添えたり変化させたりする仕組みは英語と何ら変わりません。

基本的な2000~3000語を覚えてしまうのはなかなか骨が折れるでしょうが、その先に進めば進むほど語彙学習はスムーズにはかどっていくでしょう。

 

そして「難しい神話」に雪解けが…

以上、ざっくりとですが、ロシア語の特徴をまとめてみました。

本サイトでは繰り返し強調していることですが、そもそも「この言語は難しい」という議論は語学においてほとんど無意味です。

私は長年英語を勉強していますし、それまで学んできた他の言語よりは英語が一番使えます。それでも「英語は簡単か」と聞かれたら、「No」と即答します。10年以上勉強して、洋書も何冊も読んで、コミュニケーションもほとんど問題ないレベルで使える英語ですら、私は「○○語より簡単」とは断定することはできません。

ただ一方で、母語や学習経験のある言語を背景として、「○○語のこの部分は、他の言語よりは幾分学習がしやすい」ということが言えることがあるのもまた事実です。例えば、英語の母語話者や英語学習経験者がフランス語の単語を1000語覚えるのは、アラビア語の単語を1000語覚えるのよりはやはり短時間で済むという差は確かに存在します。

この記事は、「ロシア語って難しいです」ということを主張するわけではなく、「ロシア語のここはなかなか骨が折れますよ(でもそれはどの言語でも同じですよね)」ということを紹介するのが目的です。

その中で、ロシア語学習においては、通常の日本人にとってはどのような点に時間がかかるかという疑問に一つの私なりの答えをささやかながら提示してみました。

もちろん、ここに書かれていることがすべて正しいと自信をもって断言はできませんが、一方で、ひとつの参考程度にはなるのかなと思っています。

「ロシア語は難しい」という見方は、一般的には多くの挫折した学習者とその言葉を真に受けた未経験者が作り上げた神話であるような気がします。

ロシア語は難しい。確かにそう。でも、その難しさを解きほぐしていくと糸口は必ず見えていきます。それはどの言語学習においても結局は同じことです。

現在、この記事を私はウクライナで書いています。2ヶ月ほど前からカザフスタンに入り、その後中央アジア、ロシア、東ヨーロッパと広大なロシア語圏を移動しながら構想を練ってきました。

言語圏が広大である一方で、ロシア語は非常に統一感のとれた言語です。カザフスタンだろうが、モスクワだろうが、ラトビアだろうが、人々が話すロシア語には理解不能なレベルでの地域差があるというわけではありません。(これは、私たちがひとくくりにしがちな「中国語」が内部では意思疎通不可能なレベルの地域差が存在するのと対照的といえるでしょう。)

そして、ロシア語圏は現状、なかなか英語が通じないという地域も多いですので、日本人にもあまりなじみのない、「謎の場所」のような印象を持っている方も多いと思います。

言葉を知ることは、その場所と、そこに生きる人々を知ることの第一歩です。

「ロシア語難しい」「ロシアってなんか危険そう」といった氷のように冷たい幻想に春の雪解けをもたらすのは、結局は私たちが自分で身につけたひとつひとつ言葉であり、自分の目でみた世界だけです。

このサイトを通して、そういった世界に興味を持つようになる方がいるなら、なんとも喜ばしいことです。

 

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